トップ> エレビットpresents 大切なあなた>第3回 益子直美さん 〜スペシャルインタビュー:空の森クリニック理事長 徳永義光さん〜
妊活を卒業するということ、治療のきっかけから現在までを伺いました
第3回 2021/11/21放送
益子直美さん
〜スペシャルインタビュー:空の森クリニック理事長 徳永義光さん〜
中村:今回のゲストは、元バレーボール日本代表で、現在はスポーツキャスターとして活躍されています、益子直美さんです。
益子さんがご結婚されたのは40歳(2006年)ということですが、それまで結婚に対してどんなイメージがありましたか?
益子:主人は12歳年下だったので「結婚はないかな、恋愛を楽しくできればいいかな」って思ってたんです。でも、ある日主人が本気でプロポーズしてくれて。びっくりしたんですが、そこから本気で結婚を考えました。
中村:実際、ご結婚されてからはいかがでしたか?
子どもが欲しいと思ったきっかけ
益子:テレビに出ているせいか、まわりから叩かれることもあるじゃないですか。
結婚してからは主人が味方でいてくれて、「世界の全員が私のことを嫌いでも、主人が好きでいてくれたらいいかな」みたいな、そんな安心感が生まれたんですよね。そうやってふたりで生活していく中で「主人の子どもを産みたいな」と思うようになりました。
中村:おふたりとも人一倍、体のことを知っていますし、健康に気を付けていますよね。
妊活にするのに、40歳という年齢に関してはどうでしたか?
益子:「年齢的に厳しいんだろうな」とは思ってたんですけど、自分たちはアスリートだからっていう変な過信もあって。自然に妊娠できると思って、最初は病院に行こうっていう気持ちはなかったんですよね。
ただ仲のいいお友だちで、妊活もされていたバトミントンの陣内貴美子さんに相談していました。いろいろアドバイスしていただいて、「もし赤ちゃんが欲しいなら早いほうがいい」と言ってくれたので、42歳から病院に行くようになりましたね。
中村:じゃあ結婚して最初の2年間は、なんとなく妊活をしているという感じで、実際にクリニックには通っていなかったんですね。では、食事に気を付けるということもなかったんですか?
益子:一切やってなかったです!
病院には行ってなかったんですけど、現役時代から基礎体温を測ってずっとグラフもつけていて、なんとなく排卵日はわかっていたのでタイミング法はやっていたんです。
中村:その間、旦那様の反応はどうでしたか?
益子:主人は治療にすごく協力的でした。私が病院に通うようになったときも、嫌がらずに一緒に来てくれましたし、男性不妊の検査もしてくれましたね。
病院に通ってわかったこと
益子:まず初めに、高齢出産は勧めないという姿勢の病院に行ってしまったので、私たちとは合わなかったですね。
そこで病院を変えたんですが、その病院ではタイミング法や人工授精ではもう間に合わないということで、いきなり顕微授精になりました。排卵誘発剤を打ったり注射をしたりしたんですが、なかなか治療がうまくいかず、そこからは毎月落ち込んでいましたね。
中村:わかります…。
益子:実は子宮の真ん中に大きなキノコのようなポリープが発見されて、まず子宮をきれいにすることから始まりました。ポリープだけでなく、囊腫(のうしゅ)と小さな腫瘍(しゅよう)と、内膜症がたくさんあって。
実は現役のころから生理痛がひどくて。でも婦人科に行きづらかったので、子宮を見てもらったのは初めてでした。全部きれいに治療してもらって、生理痛がないのはこんなに楽なんだっていうことがわかって、本当にびっくりしたんです。
だから、姪っ子とか若い友だちには「生理痛があったら病院に行って。我慢しないほうがいいよ」って伝えたりしてるんです。
中村:今まで「自然に赤ちゃんができる」って思っていたのに、治療を始めると急激に生活が変わるじゃないですか。そういうとき、気持ちは追いつくんでしょうか?
妊活中のプレッシャー
益子:「今月もダメだった、次の月もダメだった」って毎日毎日、妊娠のことばっかり考えていました。
主人が若いこともあって、友だちや知り合いのお母さんから「子どもはまだ?」っていう声をかけていただいたりすると、うれしいんですけど、どんどんプレッシャーになっていって、結構追い込まれてしまいました。だんだん「排卵日が怖い、病院に行くのが怖い」っていう感じになってきていましたね。
益子:そんな中、いよいよ顕微授精をするということで、排卵誘発剤を打って、できた卵は3つだったんです。
先生に「いやー、3つかぁ…」って言われて。「若い方たちはどのくらい取れるんですか?」って聞いたら、「取れる方は20何個」って言われたんです。そのとき、高齢出産が厳しいということがわかりました。
その病院は全身麻酔で採卵だったので、「ちょっとリスクはあるよ」って言われたんですが、この先チャンスがあるかわからないので採卵してもらったんです。でも3つのうち1個は使えなくて、あとの2つもあんまり育ってない感じだったんですけど、授精できるかっていうところまで行きました。ただ、結局授精しなかったので子宮に戻せなかったんです。
年齢的な壁や、実はこれまで体に負担をかけていたことを痛感しました。それで、主人と45歳で妊活は卒業しようって、決めたんです。
中村:45歳っていう数字はどこから決められたんですか?
45歳で妊活を卒業すると決めたわけ
益子:年齢が上がれば上がるほど、私の体にも、産まれてくる子どもにも負担がかかるということもあるので45歳と決めました。陣内貴美子さんにも「乗った電車からはなかなか降りられないよ」と話を聞いていて、主人も「いつやめてもいいんだからね」って言ってくれて。それで、「じゃあ45歳までがんばる」って。
ゴールをしっかり決めたので、そこまでやりきろうと思ってやったんですけど、結局授精しなくて顕微授精で戻せなかったわけです。でも、その病院では料金が全部込み込みだったので、受精卵を戻しても戻さなくても料金は一緒で。薬代も注射代も高くて「結構厳しいな」と思いました。
中村:不妊治療はやっぱりお金の問題が大きいですよね。
益子:多少貯金はあったので、できる範囲のことは全部やりきったんですけど、この先何年もだらだら治療をやっていては生活が楽しめなくなるな、というのも感じていました。
それで、45歳になる誕生日の5月20日に「もう終わり」ということで、その日に主人と婦人体温計、グラフと薬を全部捨てました。
中村:胸に響きます。
ここで勉強をかねまして、専門家の方にお話を伺っています。一緒に見ていきましょう。
妊活中のストレスについて
益子:子どもがなかなかできないことや不妊治療していることは、当時は誰にも言えなかったし、誰にも知られたくありませんでした。
ただ、年齢的に時間がなかったので、ストレスを排除して臨みたいなという気持ちはあって、不妊治療を始めるときに、解説やコメンテーターなど、バレーボールの仕事は全部卒業したんです。
中村:バレーボールのお仕事がストレスだったんですか?ちょっと意外です。
益子:仕事がストレスだったということも言えなかったんです、誰にも。バレーボールの仕事にはお世話になっていたので、「つらい」っていうのを誰にも言えなくって。
中村:お酒飲んだとき、愚痴を仲間内で言う、というのもなかったんですか?
益子:言ってなかったです。不妊治療を始めるときに主人に「仕事をやめたい」と初めて言いました。
中村:益子さんは本当にお優しくて、まわりの方を見てらっしゃるからこそ、愚痴やわがままを言っちゃいけないというところがあるんでしょうか。でも、むしろそれが妊活中のご自身にはストレスだったのではないですか?
益子:バレーボールを卒業したことで、逆に体調はよくなったんです。
2人:(笑い)
益子:でも45歳で妊活を卒業してから、そのあとずっとひきずっちゃってたんです。「生理があるうちは、妊娠する可能性があるんじゃないか」って、ずっと心の中で思ってて。
妊活を卒業するっていっても、東京に住んでいたので、すぐ病院に行けるじゃないですか。主人には言えませんでしたけど、いつも「病院に行こう」って思ってて。
でも、主人とふたりでこの先の人生を楽しんでいくと決めたからには、なんとか区切りをつけたくって、それで湘南に引っ越したんですね。2011年から湘南に住み始めてちょうど10年たちました。
中村:引っ越すぐらいのことをしないと、という感じだったんですね。この10年はいかがでしょう?
妊活を卒業してからの生活
益子:勢いで湘南ライフになったんですが、すごく健康的になったし、楽しくってしょうがないですね。
湘南は海までも近いですし、空気がいいんですよ。江の島とか富士山を見て、「あー自分ってちっぽけだな」って思ったり。
でも途中、私は心臓の手術をしたんですが、もし赤ちゃんができていたら、たぶん心臓にかなり負担がかかっていたんじゃないかなって。子どもができなかったのも、ちゃんと私の健康状態を神様が察知してくれてたのかなって、今はすごく納得してます。
中村:お話を伺っていると、ここまでの益子さんの決断や結果、そういうのが全部今の益子さんのためにあったんだな、と思いますね。
益子:きつかったんですけど、すべてやりきったという思いもありますし、結果、夫婦の絆がさらに深まったなって思います。
主人はもともと自転車選手だったんですけど、今は子どものためのスクールに取り組んでいて。私も小学生の大会などで、子どもたちの未来を大事にする活動をやり始めたりしています。
ふたりとも、子どもがいなくても「子どもが大好きだ」っていう気持ちは変わらないし、「みんなが私たちの子ども」みたいな、そんな気持ちで活動をやらせてもらっていて、幸せです。
中村:今の旦那様との生活で、大切にされていることって何ですか?
益子:やっぱり笑うことですかね。あとは、無理しないことです。
なにかストレスでつらいことがあったら、やめよう、逃げよう、やめていいよってことを、お互いにすごく言いあっています。
中村:益子さん、すてきなパートナーと巡り合えて幸せそうです。
益子:そうですね、ちっちゃいケンカはありますけど。
私は40歳という遅い年齢で結婚しましたけど、こんなに楽しい人生が待ってるとは思ってなかったんです。
妊活していて、お子さんができた、っていうニュースはすごく取り上げられるじゃないですか。でも子どもができなくて妊活を卒業した、ということは自分ではなかなか言いづらくって。だから、今回私を呼んでくれたことが、すごくありがたいなって思います。
中村:ぜひ卒業された方に、今の益子さんをご覧いただいて、こんなに明るい未来もあるってことを知ってもらいたいなって思います。
本当に貴重なお話を伺いました。ありがとうございます。
※ラジオ番組「エレビット presents 大切なあなた」をもとにwebコンテンツとして再構成しています。
番組について
この番組は様々な著名人や専門家をゲストに迎え、
「たまには赤ちゃんや妊活について話してみようよ!」というトークバラエティです。
「赤ちゃんがいる生活」について一緒にリラックスして考えてみませんか?
放送日時
TBS ラジオ 毎週木曜 21:00~21:30 3/31(木) スタート
ABC ラジオ 毎週日曜 12:30~13:00 4/3(日) スタート
※radikoでも聴取可能 https://radiko.jp/
放送局
ABCラジオ(関西エリアのみ)
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Last Updated : 2021/Dec/17 | CH-20211213-02