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産後ママの心とからだ作り講座

古賀文敏ウイメンズクリニックの古賀文敏先生による“産後ママの大切な栄養”

産後ママにはどのような栄養素が必要なのか、古賀文敏ウイメンズクリニックの古賀文敏先生に聞いてみました。

お母さんも赤ちゃんもぐっすり眠れるように!カギとなるのは「たんぱく質」

夜中に赤ちゃんが何度も起きてしまうと、そのたびに起きなければならず、産後のママにとって大きな負担となります。赤ちゃんが夜になるべくぐっすり眠れるために大切な栄養素が「たんぱく質」です。
赤ちゃんは、おっぱいからたんぱく質をしっかりとることで、おなかが満足して、ぐっすり眠ってくれるようになります。おっぱいは、ママのからだの中のたんぱく質が使われますので、授乳中のママは、たんぱく質が多く含まれる食品を意識的に食べることをおすすめします。食事摂取基準で推奨されている量は、一般女性より20g多い70gです。たんぱく質のとりすぎは良くないといわれることもありますが、授乳期のママや、成長期のお子さんは、気にする必要はあまりありません。むしろ、積極的にたんぱく質をとるようにしてください。

たんぱく質

妊活中や妊娠中だけでなく産後こそ必要!「鉄と葉酸について」

産後ママに特に不足しがちな栄養素のひとつ「鉄」

妊娠中は多くの方に貧血傾向があるといわれていますので、かかりつけの医師から鉄を積極的に補給してくださいねといわれ、気を使っていたかもしれません。しかし、出産した後は、鉄の摂取をあまり意識していないのではないでしょうか。出産時には多い場合で500〜1000ml、またそれ以上の出血する場合もあり、妊娠中に鉄が不足傾向にあった方は注意が必要です。鉄は、からだの中ではヘモグロビンの材料となり全身に酸素を運ぶ働きをしていることが知られています。このヘモグロビンが足りない場合は、脳が酸欠状態になることによって頭痛が起きやすくなるといわれています。また、筋肉が作られるときにも働くときにも鉄は必要不可欠ですので、鉄が不足すると肩凝りの原因にもなります。
もともと生理のときに頭痛を起こしやすい方、肩がすごく凝る方、足に打ち身や青ジミがよくできるような方は、鉄が不足しがちになっていることが多いです。このような方は特に、出産後も意識的に、鉄を摂取するようにしましょう。

 

出産前だけでなく出産後も実は必要な「葉酸」

妊娠前には、医師から「葉酸を積極的に摂取することが大事ですよ」といわれ、葉酸が入ったサプリメントを飲まれていたかもしれません。生まれてくる赤ちゃんの健やかな成長のためにも、葉酸は妊娠前から十分な量をとることがすすめられていますが、実は妊娠中や産後もとても必要な栄養素です。なぜなら、葉酸がお母さんのメンタルとも関わりがあること、赤ちゃんの身体だけでなく心の健康にも影響があるのではないかというデータもでてきているからです。
残念なことに「妊活中は葉酸のサプリメントをとっていたけれど、妊娠してすぐにやめてしまった」という声をよく聞きます。日本人の場合、葉酸が体内で働きにくい体質の人が多くいることもわかっており、必要だとされる葉酸の量を摂取していても、足りない場合もあるほどです。
ママと赤ちゃんの心の健康のためにも、産後も継続して葉酸をとり続けることがとても大切です。葉酸を摂取する際は、ビタミンB6、B12などと一緒にとると、葉酸が体内でより働きやすくなりますので、合わせてとるように心がけてみましょう。

古賀先生

ママのおっぱいから赤ちゃんがしっかり補給したい!「ビタミンDとDHA」

産後ママはビタミンDも不足しがちです。日光を浴びたり、ビタミンD が豊富な魚などを食べるたりすることで得られる栄養素ですが、最近は、帽子、日傘、日焼け止めで直射日光を避けるママも多いのではないでしょうか。ママがビタミンD不足の状態だと、そのママの母乳を飲んでいる赤ちゃんも同じようにビタミンD不足になってしまいます。ビタミンDは骨の成長に関わっています。ビタミンDが大きく不足してしまうと、骨が変形したり、骨折しやすくなったりしてしまうので、成長期に特にとりたい栄養素のひとつです。ビタミンDは、意識してとらないとすぐに不足してしまいますので、サプリメントなども利用して十分な量のビタミンD をとることを考えてみてもいいでしょう。

DHAは、脳の発達に関係する栄養素であり、魚の脂であるオメガ3系脂肪酸のことです。DHAは、妊娠中からとるほうが良いとされていますが、お母さん自身の身体のためにも必要ですし、赤ちゃんは母乳からDHAを摂取することになるため、母乳育児をされているママは特に積極的にDHAを摂取するようにしましょう。
DHAは魚に含まれていますが、マグロには水銀が含まれているため、妊娠中に意識して食べる場合はサバやイワシなどの小さい魚のほうがおすすめです。また、魚を毎日食べるのは大変かもしれませんので、DHAもサプリメントを上手に利用するといいかなと思います。

DHA

メッセージ

産後ママは、日々子育てに奮闘されていると思います。今は本当に大変なこともあると思いますが、赤ちゃんは日々成長していきます。いつか振り返れば、子育てに費やした日々がみなさんの宝物になっているでしょう。ぜひ今の時間を大事に過ごしてみてください。
そして、育児中は産後ママの心身が何よりも大切です。栄養をしっかりとる、できるだけ睡眠をとる、合間を見つけてリフレッシュする、といったことを意識していただければと思います。

まとめ

  • ぐっすり眠れるように、「たんぱく質」を意識的にとりましょう。
  • 鉄が不足されている方は多いので、鉄を補うことが大切です。
  • 葉酸は、妊娠前、妊娠中だけではなく産後も継続的にとり続けましょう。
  • 不足しがちなビタミンDはサプリメントの利用がおすすめです。
  • DHAは、母乳を通じて赤ちゃんにも与えられるため、妊娠中だけでなく産後も積極的に摂取しましょう。
     
古賀先生

古賀文敏ウイメンズクリニック 院長
古賀文敏先生

大分医科大学(現大分大学)医学部卒業。久留米大学産婦人科学教室入局後、国立小倉病院周産期病棟医長、久留米大学病院不妊・内分泌部門主任を経て、2007年より現職。
日本生殖心理学会理事長、日本レーザーリプロダクション学会副理事長、日本IVF学会理事、日本受精着床学会評議員、日本生殖内分泌学会評議員、日本産科婦人科学会専門医、日本人類遺伝学会専門医、福岡大学産婦人科臨床教授 など

Last Updated : 2024/Oct/28 | CH-20241028-06