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産後ママの心とからだ作り講座

「何よりもママが笑顔で健康であるために~産後を振り返って~」

後編:産後について社会的な問題だなと思うこと

英ウィメンズクリニック 十倉 陽子先生に、産後ママの健康について聞いてみました。

前編:必死だった産後、どのように産後を乗り越えるか

「毎食、栄養満点でバランスよく」は至難の業

核家族ですと特に、栄養満点のものを毎食作って食べるのはしんどいですよね。隙間時間に食事をとる、時間があれば少しでも寝たいなんて環境の産後の方も多いのではないでしょうか。私はそれなりにはご飯をちゃんと食べて、おなかも一杯になっていたので自分は栄養を摂れていると思っていました。ですが、いざ血中濃度を測ってみると鉄や亜鉛が低かったり、ビタミンDも足りていなかったりして本当にびっくりしたんです。
日本人女性の平均的な食事では栄養摂取量が基準に達していないということが学会等でも情報共有されています。
産前よりも忙しくなる産後に平均的な食事内容で、十分な栄養素を毎日摂っていくということはかなり難しいのではないかと思います。

「毎食、栄養満点でバランスよく」は至難の業

妊娠中に増えた体重を早く戻したい風潮

また、しっかりと食事をとるよりも妊娠中に増えた体重を戻したい!という気持ちの方が勝ってしまうこともありますよね。こういった気持ちはすごくよくわかります。特に、日本では今、家庭内の何気ない会話やメディアからの情報で、医学的にはやせすぎに分類されるような体型が良いといったような歪んだボディイメージを持つ傾向が高いことを問題視している研究者の方の指摘があります。妊娠中に体重がしっかり増えることは通常のことですし、産後もむくみが多いですから、この増えた体重は産後の生活で徐々に減っていくものです。食事制限メインのダイエットは筋肉量が減ってしまうリスクがありますので、決してしないで欲しいですね。
もしどうしても体重が気になる場合は、今後の子育てで必要になる大事な筋肉を減らしちゃうのではなくて、赤ちゃんの抱っこやおんぶだけでもけっこうな運動になりますし、一緒にお散歩に出かけたりしてみてください。お母さんの健康が第一です!

産婦人科医として産後のお母さんに伝えたいこと

今では産後にお母さんが産後うつ傾向にないか状態をチェックするリストがあって、産婦人科医が聞くようになっています。これは重要な質問ではあるのですが、このときのチェックリストに入っているのは気持ちの状態に関しての項目ばかりなんですよね。産後の貧血は産後うつ発症のリスクとなることが報告されていますので、ご飯は食べられていますか?や、ご飯をサポートしてくれる環境がありますか?などなんらかの栄養についての質問も項目に入って、医師からの問いかけが一言入るようになるとよいかなと思います。お母さんが自分で栄養に目を向けられると良いのですが、恐らく産後は他のことでいっぱいでそこまで気が回らないと思いますので、気付くために何かしらのきっかけとしての情報発信をしていきたいです。

産婦人科医として産後のお母さんに伝えたいこと

<妊娠中・産後に必要な
DHAのあれこれ>

どうして妊娠中・産後にDHAをとるのがいいの?
DHAのサプリメントはいつから飲めばいい?
など十倉先生にDHAについて聞いてみました。

DHAのサプリメントはいつから?

実は、私は子ども全員4人を不妊治療で産んでいます。キャリアを優先してきて、気付いたときにはAMHがすでにとても低かったんです。
自然妊娠もなかなかできなかったので、これはもう不妊治療に踏み切るかということで不妊治療を受けました。DHAは卵子の質や着床環境に対して良い影響があると言われていますので、採卵や移植が近づいたら意識してサプリメントを摂りました。

DHAのサプリメントに助けられたこと

つわりも個人差があると思うのですが、私は妊娠中は毎回4カ月くらい続くひどいつわりがありました。シャンプーや洗濯用洗剤もにおいが本当にダメになってしまって、全て変えるほどでした。お米を炊くのも冷蔵庫を開くのもかなりしんどかったですね・・・。

DHAは赤ちゃんの脳の発達をサポートをしたり、抗炎症作用からアレルギー抑制にも関係があるのではないかという報告がありますので、妊娠中、授乳中にずっと摂っておきたい栄養素の一つです。ただ、つわりで魚をあまり食べられない上に、子育て中で上の子がお肉の方が好きだったりすると必然的にお肉料理が多くなって、魚を毎日は食べなくなってしまいますね。なのでサプリメントに頼ることにしました。DHAは魚からよく摂れる栄養素ということもあって、サプリメントによっては、臭いで吐き気が襲ってくるのがつらかったんです。今回の妊娠中は植物由来の匂いがなく飲みやすいDHAサプリメントが選べて本当に助かりました!

十倉先生

英ウィメンズクリニック
女性医学部門長 
十倉 陽子 先生

2005年関西医科大学医学部卒業後、東京北社会保険病院で臨床を受ける。その後、帝京大学医学部附属溝口病院 産婦人科へ入局。母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院、帝京大学医学部附属溝口病院 産婦人科を経て、2011年より英ウィメンズクリニック勤務、2012年8月より現職。上記在職中に4回出産。

Last Updated : 2024/Sep/24 | CH-20240826-08