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葉酸欠乏症にならないために知っておきたいこと

葉酸はビタミンB12やB6などと同じビタミンB群の一種で、おなかの中で急成長する赤ちゃんに必要不可欠な栄養素のひとつです。特に妊娠初期は、赤ちゃんの脳や脊髄の基になる神経管が形成される時期にあたり、より多くの葉酸が必要です。葉酸不足が長期間続くと、葉酸欠乏症とよばれる状態になることがあります。葉酸欠乏症と、それを予防するために知っておきたいことをご紹介します。

葉酸欠乏症とは

葉酸は、DNAの合成や赤血球の形成に深くかかわっていて、男女とも全ての世代の人にとって必要な栄養素です。葉酸の摂取不足が数カ月間にわたって続くと、葉酸欠乏症を発症することがあります。葉酸欠乏症になると、貧血になったり精神的に不安定になったりといった症状が現れます。

特に注意したいのが貧血です。葉酸欠乏症が原因の貧血は、巨赤芽球性貧血といわれ、赤血球のもととなっている赤芽球が巨大化し、正常な赤血球が減ってしまうことで生じます。一般的に貧血とは、「赤血球の中にある、酸素を運ぶ役割のヘモグロビンの濃度が低くなった状態」を指しますが、巨赤芽球性貧血ではヘモグロビンの量が十分であっても貧血になってしまいます。それが、一般的な貧血と葉酸欠乏症による貧血との大きな違いです。

妊娠初期に、葉酸が欠乏すると、赤ちゃんの神経管(脳や脊髄の基)の形成に大きく関係し、先天異常発症のリスクが高まるといわれています。

葉酸欠乏症になる原因

水溶性ビタミンである葉酸は、必要量以上を摂取すると尿などから体の外に排出されるため、体内に溜めておくのが難しいという特徴があります。したがって、数カ月にわたって葉酸の摂取量が少ない状態が続くと、葉酸欠乏症になってしまう可能性が生じます。

また、妊娠初期はつわりなどで食事が十分に摂れなかったり、妊娠中期・後期は葉酸の分解、排泄が促進されるという報告があり、結果的に葉酸の摂取量が不足しがちになることも。

妊娠初期の葉酸欠乏を防ぐためにも、葉酸は必要な血中濃度を充足するのに時間がかかるため、妊娠前から十分に摂取することが、とても大事なことです。

葉酸摂取の推奨量はどれくらい?サプリメントからは?食品からは?

どれくらい摂取していれば、葉酸不足のリスクがなくなるのでしょうか。
成人の場合の葉酸の推定平均必要量は200㎍とされており、推奨量は240㎍です。普通の食事をしていれば、葉酸が不足することはあまりありません。

しかし、妊婦の場合は違います。妊活中・妊娠初期の場合、食事から240㎍の摂取とサプリメント等から400㎍が推奨量となっており、妊娠中期から後期にかけては、通常の推奨量の2倍にあたる480㎍が推奨量になっています。
葉酸サプリの必要性

※1 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版) 」策定検討会報告書
※2 240μgを食品から摂取、付加量として400μgを通常の食品以外の食品(サプリメントなど)から摂取

なお、葉酸の摂取量が「食事から」と「サプリメントから」に分かれているのには理由があります。

葉酸は、主に食品に含まれている天然葉酸の「ポリグルタミン酸型葉酸」と、主にサプリメントなどに含まれている合成葉酸の「モノグルタミン酸型葉酸」という2種類に大きく分かれています。合成葉酸と天然葉酸とでは、合成葉酸のほうが体内で効率的に使われるという特徴があります。

したがって多くの葉酸を必要とする先天異常の発症リスク低減の観点から、妊活中・妊娠初期は、食事から摂取する天然葉酸に加えて、葉酸サプリメントなどから合成葉酸もしっかりと摂取することがすすめられています。

葉酸を多く含む食品は?食事から葉酸を効率的に摂取する方法

葉酸は豆類、肉、野菜などさまざまな食材に含まれています。葉酸が豊富に含まれる食品と100gあたりの葉酸量をご紹介します。

  • 野菜やきのこ類
    ブロッコリー=210㎍、枝豆=260㎍(茹でた場合)、パセリ=220㎍、ほうれん草=110㎍(茹でた場合)、干し椎茸=44㎍(茹でた場合)、あさつき=210㎍など
    葉酸は水溶性ビタミンで熱に弱いという性質があります。茹でることで葉酸量が減ってしまうので、電子レンジで調理する等工夫しましょう。
  • 豆類
    大豆=230㎍(乾燥の場合)、糸引き納豆=120㎍、きなこ=250㎍、豆乳=28㎍など
    きなこを牛乳に入れて飲んだり、煮豆や納豆などを食べたりと毎日の食事に積極的にとり入れましょう。
  • 肉類や卵
    鶏レバー=1,300㎍、牛レバー=1,000㎍、豚レバー=810㎍、フォアグラ=220㎍(すべて生の場合)、ピータン=63㎍など
    レバー類に特に多く葉酸が含まれていますが、レバーにはビタミンAもたくさん含まれており妊婦さんの過剰摂取は、赤ちゃんの奇形の発生リスクが高くなる恐れがあります。葉酸の摂取は大切ですが、妊娠中は特にレバーの大量摂取は避けるようにしましょう。

これら以外にも、海苔やわかめなどの海藻、イチゴやアボカドなどの果物、うなぎの肝やたたみいわしなどの魚などにも多く葉酸が含まれています。

自身の食事で葉酸が足りているのか心配な方は「写真でしっかり!栄養バランスチェック」で、あなたの食事バランスをチェックしてみましょう。
 

より効率的に栄養を摂取できる葉酸サプリメントの選び方

十分な量の葉酸を摂取するには、葉酸サプリメントを活用するのがよいでしょう。

葉酸サプリには、葉酸だけが配合されたものや葉酸以外の栄養素も配合されているものなど、さまざまな種類がありますが、妊娠中に不足しがちな栄養素や体内での葉酸代謝を助ける栄養素を一緒に含むものを選ぶのがおすすめです。

妊娠中に必要な栄養素は、葉酸だけではありません。そして栄養素は、体の中でお互いに助け合って働いています。葉酸に加えて以下の5つの栄養素を含むものを選ぶと、必要な栄養をより効率的に摂取できるはずです。

  1. ビタミンD
    カルシウムの吸収を促し、骨の形成に役立ちます。妊娠・授乳期の母体のビタミンD濃度が、小児期や思春期の成長や発達にも関係するといわれており、妊活中から授乳中まで意識的に摂取したい栄養素です。
  2. カルシウム
    骨や歯を形成する際に必要です。日本人は全年代でカルシウムが不足しているといわれています。妊娠から授乳期は、赤ちゃんの骨を作るのに使われるため、お母さんからの十分な量のカルシウムが必要となります。
  3. マグネシウム
    カルシウムとともに、骨や歯の形成に必要な栄養素です。体内酵素の働きや血液循環などの正常化に関与します。妊娠中、必要量が増加するので、意識して摂りたいミネラルです。

  4. 赤血球を作るのに必要です。鉄不足は、貧血や運動機能や認知機能の低下などの異常を招くことも。日本人女性は鉄の摂取量が不足しがち。妊娠中は赤ちゃんに栄養を送り、胎盤に鉄を貯蔵するため、循環する血液量が増加し、赤血球の量も多く必要になるので、より積極的な摂取が望まれます。
  5. ビタミンC
    鉄の吸収を促し、酸化を防ぎます。不足すると、倦怠感、疲労感、気力低下の症状がみられるようになり、欠乏に至ると血管がもろくなり、出血しやすくなることがわかっています。妊娠中や授乳中は赤ちゃんに供給する分を考慮し、普段より多めに摂取することが推奨されています。

葉酸不足にならないよう、サプリメントを上手に活用しよう

成人の場合、通常の食事をとっていれば、葉酸欠乏症になることはほとんどありません。
しかし、妊娠中は特に多くの葉酸が必要となるため、葉酸不足になりやすい期間です。
お母さんのためにも赤ちゃんのためにも、葉酸欠乏症にならないよう、食品と葉酸サプリメントをうまく活用して葉酸を取り入れましょう。
そしてもしも心配なことや気になることがあれば、かかりつけの医師に相談しましょう。

この記事は2024年2月27日時点の情報です。
 

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Last Updated : 2024/Feb/27 | CH-20240226-02