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【医師監修】胎児スクリーニングの胎児超音波検査とは?通常の超音波検査との違いは?
「胎児スクリーニング」という検査を耳にしたことがあるでしょうか。これは、おなかの赤ちゃんに異常がないかどうかを確認する検査のことです。妊娠中は、おなかの赤ちゃんが健康かどうか気になるところですが、胎児スクリーニングの超音波検査では、どんなことがわかるのでしょうか。
ここでは、胎児スクリーニングの超音波検査でわかることや、妊婦健診で受けることができる通常の超音波検査との違いについてみていきましょう。
妊婦健診で受ける超音波検査とは
妊娠の確認やその後の健診の中で、超音波検査は広く行われています。
産科超音波検査には「通常超音波検査」と「胎児超音波検査(胎児超音波スクリーニング)」があり、通常超音波検査は妊娠経過や赤ちゃんの成長が正常かどうかを確認するために行われます。胎児超音波スクリーニングは同様に超音波検査によるものですが、妊婦健診の際の通常超音波検査とどう違うのでしょうか。
まずは妊婦検診で行う「通常超音波検査」についてみていきましょう。
妊婦健診時の超音波検査の時期は?
厚生労働省から示されている検査時期の目安に沿って実施されています。
検査時期の目安は、妊娠初期~23週までの間に2回、妊娠24~35週までの間に1回および妊娠36週~出産までの間に1回です。実際には、妊娠経過などそれぞれの状況に応じて必要なタイミングで行われるため、これよりも少ない場合もあれば、これよりも多い回数、場合によっては妊婦健診のたびに実施することもあります。
妊婦健診時の超音波検査の費用は?
妊婦健診を受ける際の費用は、お住まいの自治体による費用助成が受けられることがほとんどで、超音波検査についても助成対象としている自治体が多くありますが助成対象となる回数や金額は自治体によって異なります。詳しくは、自治体やかかりつけの病院窓口で確認しておくとよいでしょう。
妊婦健診時の超音波検査でわかること
妊婦健診の超音波検査では例えば、次のようなことがわかります。
妊娠初期
赤ちゃんの数、子宮や卵巣の様子、赤ちゃんの心拍の有無、赤ちゃんの大きさなど。
これにより、例えば、出産予定日や、双子や三つ子の有無、子宮外の妊娠(異所性妊娠)の可能性、妊娠や出産に影響するような子宮や卵巣の異常がないか、などがわかります。
妊娠中期、後期
赤ちゃんの大きさ、赤ちゃんの向き、胎盤の位置、羊水の量など。
これにより、例えば、赤ちゃんの育ちが順調かどうか、前置胎盤(胎盤が産道をふさいだ状態)の有無、逆子など、その後の妊娠の経過やお産で気をつけることがないかがわかります。
胎児スクリーニングのための超音波検査とは?
胎児スクリーニングのための超音波検査は、赤ちゃんに形の異常(形態異常)がないかどうか、外見上や構造異常を確認するための精密な超音波検査で、出生前検査のひとつです。また、超音波検査のなかでも特殊な技術が必要になる検査なので、実施できる施設も限られています。
基本的に胎児スクリーニングは、妊婦さん・ご家族が希望する場合に受けるものです。ただし3~5%の割合で赤ちゃんはなにかしらの異常をもって生まれてくることがあるため、胎児スクリーニングのための超音波検査を受けていなくても通常の超音波検査で赤ちゃんの異常が見つかる場合もあります。
通常の超音波検査で何らかの異常が疑われた際に、より詳しく調べるために胎児超音波スクリーニングを行う場合もあります。
もし検査の結果、赤ちゃんに何らかの異常が疑われた場合、妊婦さんやご家族はとても不安になります。その後の妊娠管理や分娩時の対応、産まれた後の赤ちゃんの管理や予想される治療経過などについて、十分に相談できる施設で検査を受けることが望ましいでしょう。
胎児スクリーニングの超音波検査をする時期は?
妊娠10~13週頃、妊娠18~20週頃、妊娠28~31週頃と、施設ごとに設定されている時期が異なります。
胎児スクリーニングの超音波検査にかかる費用は?
自費による検査であるため、施設ごとに異なります。
胎児スクリーニングの超音波検査でわかること
胎児超音波スクリーニングで調べるのは、内臓を含む全身、頭、首、背中、お尻、腕や脚、手足、胸部や腹部、胃や腸、心臓や肺など、外見上や構造、機能の異常です。これにより、例えば、心臓の病気や脳の病気、二分脊椎や四肢の短縮や欠損などがみつかることがあります。
ただし、すべての病気や異常が見つかるわけではありません。また、もし異常がみつかったとしても、それが必ずしも確定的な診断とはなりません。必要に応じて、さらなる精密検査をする場合もあります。
胎児スクリーニングのための超音波検査を受けるかどうか迷ったときは
おなかにいる赤ちゃんに対しては、「異常があれば事前に知ってできる対処をしたい」だとか、反対に「生まれるまで不確定な情報ならば知りたくない」など、妊婦さんとパートナーの間でも考えが異なることもあるでしょう。いずれにしても、それらは「赤ちゃんが健康に育ってほしい」という親心のあらわれともいえます。
胎児スクリーニングを受けるべきかどうか、という問いには正解はありません。ですから、妊婦さんとパートナーとの間でよく話し合い、納得のいくような選択をしましょう。もしも、胎児超音波スクリーニングを受けるかどうか迷うときには、助産師や医師と話したり、今一度検査でわかることやわからないことを聞いてみたり、検査結果を聞いたあとの流れや相談先などを確認したりしてみるとよいでしょう。
まとめ
妊婦健診時の通常超音波検査は、妊娠の経過が順調であるかどうかを知るための基本の検査です。一方胎児超音波検査は、おなかの赤ちゃんに形の異常があるかどうか重点的に確認するための精密な検査です。胎児超音波検査は出生前検査のひとつであり、希望する人が受けるものです。パートナーともよく話しあったうえで検査を受けるか受けないか選択することができますし、判断が難しい、詳しい情報を知りたいというときにはかかりつけの産婦人科医に相談するようにしましょう。
この記事は2021年10月6日時点の情報です。
Last Updated : 2022/May/30 | LMR-CH-20210817-01