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【医師監修】出産の種類はいろいろ。分娩の基礎知識
「赤ちゃんを出産する」と一言でいっても、自然分娩や帝王切開をはじめとして、分娩方法にはさまざまな種類があります。その中には、自分で選択できる分娩方法もありますが、実際、なにを選べばいいのかと迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、腟を通って赤ちゃんが産まれる「経腟分娩 – けいちつぶんべん」の中から、自然分娩、無痛分娩、和痛分娩(わつうぶんべん)の3つの分娩方法を主にご紹介します。自分の出産について考えたり、病院を選んだりする参考にしてみましょう。
分娩の種類について
自然分娩とは
腟を通って赤ちゃんが産まれてくる経腟分娩のひとつで、自然の流れに沿って行う分娩です。大まかな流れとしては、出産の兆候であるおしるしがあり、陣痛が起き、破水したり子宮口が広がったりして、子宮収縮がより強く規則的になり、お母さんが強くいきむことで、赤ちゃんが生まれてきます。
分娩時に自分にとって楽な姿勢を自由に選択できるのがフリースタイル分娩です。お母さん自身が一番楽と感じられる姿勢を取って陣痛の痛みを和らげる方法で、ベッドの上で、大きなクッションで背中を支えて座る「座位」や、たて膝をついたり四つん這いになったりする姿勢、スクワットをするようにしゃがんだ姿勢など、さまざまな方法があります。近年ではいわゆる分娩台ではなく、ベットなど過ごしやすい状態で分娩する方法もあります。
無痛分娩とは
無痛分娩とは麻酔を使うことで陣痛の痛みを和らげる方法です。海外ではずいぶん前から一般的な方法でしたが、最近では我が国でも受ける方が増えてきています。陣痛を和らげることで産後の体力回復にも有効です。陣痛の痛みが心配な人、痛みに弱い人、パニックを起こしやすい人、高血圧などの合併症を持つ人などにも有効と言われています。
麻酔の方法として一般的に多く使われているのが、背中から管を通して行う硬膜外(こうまくがい)麻酔です。下腹部だけに麻酔をかけることで分娩時の痛みを和らげますが、その他の部分には麻酔は効いておらずお母さんの意識ははっきりしているので、赤ちゃんが産まれたときの産声を聞くことができます。
無痛分娩では、陣痛が弱くなることが多く分娩時間が長くなる傾向にあります。そのような場合には陣痛促進剤を使うこともありますが、その後の経過は自然分娩と同じです。
硬膜外麻酔は使用する麻酔薬の量が少なく、お母さんに吸収される量もとても少ないので赤ちゃんへの影響はほとんどないと考えられています。麻酔により下腹部に力が入りにくくなるため、赤ちゃんが産道を通る際に力を入れにくくなることが多いために、吸引分娩などの補助を行う場合もあります。
脊椎の状態や妊娠時の状態、合併症がある場合など、無痛分娩が適さない人もいます。無痛分娩を行いたい場合は、医師に相談するようにしましょう。
和痛分娩とは
基本的に和痛分娩は、痛みを完全に取り除くのではなく、痛みを和らげる分娩方法とされています。薬剤を使って痛みを和らげる方法として、痛み止めの注射を打つ、鎮痛剤などを投与するといったことがあります。薬剤を使わないで痛みを和らげる方法としては、呼吸法、リフレクソロジー(足や手のつぼマッサージ)、鍼治療、催眠療法、リラックス方法、マッサージなどがあります。さまざまな方法がありますので、ご自分に一番合った方法を探してみて下さい。
出産方法はほかにもいろいろ
経膣分娩の種類はほかにもいろいろあります。
経膣分娩 | 医療が介入する経膣分娩 |
など |
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また、経腟分娩以外の出産方法として、主なものには帝王切開があります。帝王切開は、おなかと子宮を切開して、切った部分から赤ちゃんを取り出す方法です。帝王切開には、あらかじめ帝王切開で出産を行う予定帝王切開と、母子の状態によって急遽行なわれる緊急帝王切開があります。
また、これらの分娩方法は病産院によって対応できるものとできないものがあります。自分の希望する分娩方法で出産できるかどうかを調べて病産院選びをするとよいでしょう。
出産をイメージしてバースプランを考えてみましょう
これから赤ちゃんを産むお母さんは「できるだけ痛みを抑えて産みたい」、「パートナーに立ち会ってもらいたい」、「産後は母子同室にしたい」など、さまざまな思いがあることでしょう。
赤ちゃんに会えるその瞬間を思い浮かべながら、自分にとって理想のお産、「バースプラン」を考えてみてはいかがでしょうか。「バースプラン」は、お母さんの出産への思いや希望を医師や助産師に知ってもらい、安心してお産を迎えるための話し合いにも使うことができます。また、新型コロナウィルス流行中は家族の立ち合いに制限を設ける病院もありますので、かかりつけの病産院に確認すると良いでしょう。
最終的には、お母さんや赤ちゃんの状態によって、希望通りの分娩方法にならないこともあります。しかし、出産は人生の中でも多く体験することはできない、かけがえのないもの。さまざまな種類の分娩方法について理解を深めたうえで、医師と相談しながら自分にとって一番よい分娩方法を考えていきましょう。
この記事は2021年11月18日時点の情報です。
※2024年1月 株式会社RJCリサーチ調べ インターネット調査 調査対象:産婦人科、産科、婦人科、生殖医療関連診療科 150名
Last Updated : 2022/Apr/5 | CH-20220328-12