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【医師監修】妊婦の喫煙はなぜNG?赤ちゃんにどう影響する?
医師である私は、喫煙には、「百害あって一利なし」と思っております。また、東洋医学では、喫煙しているだけで、「瘀血(おけつ)」といわれる血の巡りが悪い状態と判断されます。
「妊娠中の喫煙はよくない」「タバコは赤ちゃんに悪影響を与える」という話はよく知られていますが、喫煙は妊婦さんの体やおなかの赤ちゃんにどのような影響を与えるのでしょうか。加熱式たばこや副流煙がおよぼす影響についても考えてみましょう。
妊娠中はなぜ禁煙が必要?
タバコの煙には、4000種類以上の化学物質が含まれています。そのうち、ニコチンや一酸化炭素、シアン化合物、カドミウム、鉛など200種類以上の化学物質は人体に有害だといわれています。
また、加熱式タバコも同様にニコチンをはじめ多くの有害物質が含まれています。
ニコチンは血管を収縮させ子宮や胎盤への血流を悪くし、一酸化炭素は体のすみずみへ酸素を届けにくくします。そのため、喫煙した状態では赤ちゃんに十分な量の酸素や栄養を届けることができなくなります。
喫煙は妊婦さんや赤ちゃんにどんな影響を与える?
胎盤への影響
胎盤は、赤ちゃんの成長とともに作られ、妊娠15週頃に完成します。胎盤は、赤ちゃんに酸素や栄養を送り、不要なものを母体へと送るという重要な役割があります。
しかし、喫煙していると胎盤の形成がうまくいかず、赤ちゃんに必要なものが届かなかったり、妊娠中に胎盤がはがれてしまったりする原因になります。このため、流産や常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり:出産前に胎盤がはがれてしまった状態)、早産、赤ちゃんの発育の遅れなどの可能性が高まります。
子宮への影響
赤ちゃんを守る子宮は、風船のようなかたちをしており、子宮頸管(しきゅうけいかん)といわれる部分がしっかり閉じていることによって内部が守られています。
喫煙すると、この子宮頸管に炎症が起こる可能性があり、陣痛前の破水、早産につながると考えられています。
赤ちゃんへの影響
喫煙がおよぼす胎盤や子宮への影響によって、赤ちゃんが低出生体重になりやすいほか、流産や早産などを引き起こす可能性も高まります。
また、有害物質が赤ちゃんに影響を及ぼし、心臓の病気や、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ:くちびるや上あごなどが真ん中で割れた状態)などが起こる場合もあります。
家族が喫煙している場合の影響は?
受動喫煙の場合でも、低出生体重児や早産の可能性が高まります。
環境省の調査※では、妊娠初期に喫煙している妊婦さんは5%程なのに対して、パートナーの喫煙率は45%と高く、受動喫煙の影響にさらされている妊婦さんが多いことがわかります。
また、生まれた後の子どもが受動喫煙の影響によって、呼吸器系の病気や中耳炎、乳幼児突然死症候群などを発症する場合もあります。妊娠中から家族全員で禁煙することによって、赤ちゃんの未来を守ることにつながります。
※環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」
禁煙して妊婦さんと赤ちゃんの健康を守りましょう
妊婦さんとおなかの赤ちゃんの健康を守るために、家族全員で禁煙しましょう。いつ妊娠してもいいように、妊活中からの禁煙をおすすめします。
最近では禁煙外来を併設している産婦人科もあり、妊婦さんとその家族の治療費を助成してくれる自治体もあります。まずは禁煙について、かかりつけの医師に相談してみましょう。
この記事は2021年10月18日時点の情報です。
※2024年1月 株式会社RJCリサーチ調べ インターネット調査 調査対象:産婦人科、産科、婦人科、生殖医療関連診療科 150名
Last Updated : 2021/Oct/18 | CH-20211012-18