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【医師監修】妊娠中の動悸、その原因は?
妊娠すると、今まで経験したことのないような体の変化や症状に驚いたり、心配になったりすることがあるでしょう。例えば、「動悸を感じやすい」というのもよくある体の変化のひとつ。特に、動悸の症状が現れやすいのは、妊娠中期から後期ごろです。その原因や対処法などについてみていきましょう。
動悸とは?
そもそも動悸とは、どのような症状なのでしょうか。動悸は、通常は感じることができない「ドクドクドク・・・」という心臓の動き(拍動という)が、何かの拍子で急に感じられるものです。感じ方としては、強く「ドクッ、ドクッ」と胸を打つ感じであったり、早く「ドクドクドクドク…」と脈打つのを感じたりします。
妊娠中でなくても、急に激しい運動をしたり、とても怖い体験をしたりするときには動悸を感じることがあるでしょう。
一方で、病気など何らかの体の異常で動悸が起こるとすれば、心臓のリズムが乱れる不整脈や、低血圧、貧血、発熱や、脱水などがあるときです。しかし、このような場合には、動悸のほかにも兆候があるはずで、動悸の症状だけが起こり急激になにか病気を発症するということはまれなことです。
妊娠中に動悸を感じやすくなる理由とは?
それでは、どうして妊娠中に動悸を感じやすくなるのかをみていきましょう。
妊娠中は、心臓にも変化が起こります。特に、妊娠中の心臓は、赤ちゃんの成長とともに子宮へ送る血液の量が増えるため、通常よりも負担がかかっている状態になります。その結果、動悸を感じやすくなるのです。
「心臓の負担」とは、全身に必要な血液の量(循環血液量)が増えたり、心臓から送り出す血液の量(心拍出量)が増えたりしている状態です。さらに、増えた血液量に赤血球の増加が追いつかず、血液が薄まって貧血にもなりがちです。
このような変化は、妊娠が進むにつれて赤ちゃんや胎盤などが作られていくことによる体重の増加と、胎盤へと絶え間なく血液を送る必要性から起こります。特に妊娠中期から後期に著しく変化するので、このころは動悸が起こりやすくなるのです。
妊娠中の動悸に慣れていくためには?
動悸を感じる頻度は人それぞれですし、ライフスタイルにもよります。体の変化に応じて、日ごろから自分のペースでゆったりと動けていると、動悸を感じることは少ないかもしれません。一方で、たびたび動悸があると不快に感じることもあるでしょう。
そのような時には、以下のことを心がけて生活してみましょう。
- 体調の安定している時に、散歩などの適度な運動をして体力をつける
- 家事や仕事の際、負担に感じるような動作を少なくする
- 一日の予定を詰め込みすぎず、ゆったりとしたスケジュールで過ごす
- 日中もこまめに座ったり横になったりして体を休める
- バランスのとれた食事をとり貧血を防ぐ
注意が必要な動悸とは?
妊娠中の動悸は自然なことです。
ただし、もともと心臓の病気を抱えている場合や、以下のような症状がある場合には、早めにかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
- 軽く動くだけでも息苦しい
- 息苦しくて横になっていられない(起坐呼吸(きざこきゅう)という)
- むくみがひどく、体重も一週間に0.5~1kg以上増える
- とてもだるい
- 風邪や喘息(ぜんそく)に心当たりがないのにゼイゼイする
まとめ
妊娠中期から後期は、妊娠による心臓への負担によって自然と動悸が起こりやすくなります。基本的に病気ではありませんが、たびたび動悸があると不快に感じることもあるでしょう。日ごろから意識したいのは、ゆったりした生活を送ること、食事や運動で体力をつけること。
動悸を強く感じるときには、ほかの病気が原因となっている可能性があるため我慢せず、早めにかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
この記事は2021年10月19日時点の情報です。
Last Updated : 2021/Oct/18 | CH-20211012-18