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情緒不安定は妊娠のせい?妊婦さんのホルモンバランスはどう変わる?
妊婦さんは出産に向けホルモンのバランスが変化し続けます。とくに妊娠初期は、喜びや不安などいろいろな感情が入り乱れて情緒不安定になりやすいでしょう。そこで、妊娠に関わるホルモンや、妊娠前と妊娠後のホルモンバランスの変化について詳しくみていきましょう。
体も心も不安定な妊娠初期
妊婦さんは心身が不安定になりがちです。さらに、出産準備のため生活面で変化がある妊婦さんも多いでしょう。
体の変化
- ホルモンバランスが変化する
- つわりが始まる、疲れやすくなるなど、体にさまざまな変化が起こり始める
心の変化
- 妊娠したことにうれしさや喜び、驚きを感じたり、ワクワクしたりする
- 親になることにプレッシャーを感じる、妊娠・出産に対して不安を抱く
- 体の変化にいらだちや戸惑いが生じる
生活の変化
- 体の変化に応じて仕事をセーブしたり、やめたりする
- 引っ越しをするなど、生活環境が変わることがある
- パートナーとの関係性に変化が生じる
特に妊娠初期の妊婦さんは、心穏やかな日もあればそうでない日もあるなど情緒不安定になりがちで、「この状態はいつまで続くの?」と不安になることもあるでしょう。しかし、妊娠中の心身は出産に向けて変化を続けながらも、徐々に安定していくものです。
妊婦さんの心身に大きく影響するホルモン
妊娠中の心身の変化に大きな影響を与えているのが、ホルモンです。ここでは特に妊娠によって増えるホルモンが心身にどのような影響を及ぼすのか、みていきましょう。
プロゲステロン
子宮の筋肉を緩ませて胎児の成長に備えます。また、乳腺にも作用して母乳の準備を行うなど、妊娠の維持と産後の備えに欠かせない働きをします。
一方で、血管、消化管、尿管などへ幅広く作用するため、さまざまなマイナートラブルに影響を与えます。
エストロゲン
胎児の成長に備えて子宮を厚くしたり、子宮の血流を増やして、妊娠を維持します。また、プロゲステロンと同じく、乳腺にも作用します。
さらに、エストロゲンの作用はとても幅広く、中枢神経(全身の器官がうまく機能するための司令塔的存在)を守る働きも担っています。そのため、安定期に入って分泌量が増えると、脳の働きも安定しやすくなります。
ヒト絨毛性(じゅうもうせい)ゴナドトロピン(hCG)
妊娠すると分泌し、妊娠初期に分泌量のピークを迎えることから、妊娠反応検査にも使われます。胎盤から「エストロゲン」や「プロゲステロン」が分泌されるようになるまでの間、先陣を切って働くホルモンです。
妊娠中の変化を乗り切る3つのポイント
(1)生活習慣
バランスのとれた食事、十分な睡眠・休息、適度な運動は、健康な毎日を送る上での基本です。しかし、心身の変化が大きい妊婦さんの場合、その時々の体調に合わせて調節することも必要です。
食事
- 妊娠初期:つわりなどで、思うように食事が摂れないことが多い時期です。無理はせず、「食べられなくても良し」としましょう。
- 妊娠後期:大きくなった子宮に胃が圧迫されて苦しくなり、一度にたくさんの量を摂ることが難しくなります。1日3食にこだわらず、小分けにして摂りましょう。
<パートナーができるサポート>
つわりのときは、料理のにおいがつらいことがあります。パートナーから妊婦さんに食べたいものを聞いて、積極的に準備するようにしましょう。妊婦さんの大きな助けになります。
睡眠
- 妊娠初期:疲れやすい時期なので、日中でも適宜、昼寝や休息をとるとよいでしょう。
- 妊娠中期~後期:胎動や尿意で夜中に起きることが増えるため、寝不足になりやすい時期です。寝不足が続かないように、日中でも、短い昼寝をしたり、横になったりする時間を作って心身を休めるようにしましょう。
<パートナーができるサポート>
パートナーが遅くまで仕事をしていると、妊婦さんがつられて夜更かししてしまうことがあります。食事や入浴の時間、就寝時刻までの過ごし方などを、お互いに見直しましょう。
また、妊婦さんは眠気や疲れが出やすいので、妊娠前と同じようなスケジュールをこなすことができない場合もあります。パートナーからも、昼寝や休息をとるよう声かけをして、睡眠不足に気を配りましょう。
運動
- 妊娠初期:つわりがつらい時期。ストレッチでリラックスしましょう。
- 妊娠中期:体が安定してくるので、お散歩を楽しみましょう。
- 妊娠後期:体に負担がかかりやすい状態です。体を動かすときは無理しないよう心がけましょう。
<パートナーができるサポート>
散歩やお風呂上がりのストレッチなど一緒に行ってみると、妊婦さんも継続しやすくなります。
(2)助産師・医師とのパートナーシップ
妊婦健診の際に、自分の体調について、助産師や医師にしっかり伝えましょう。困っていることがあれば相談し、より快適に過ごせるようにアドバイスをもらいましょう。
食事や運動などの生活習慣については、妊娠経過によって注意するポイントが変わってきます。わからないことは主治医に確認しましょう。
(3)家族の協力とサポート
妊婦さんは、自分の心や体の状態を家族に伝え、生活面で協力してもらいましょう。家事などの役割分担や、生活習慣を変える必要があるかもしれません。
妊婦さんの状況に合わせて家族がともに協力していくことで、家族間のチームワークが高まります。この結束は、出産や産後の忙しい日々を乗り越える上でも、大きな支えとなるでしょう。
また、妊婦さんは、自分の心と体が思い通りにいかないことを、これまでにないほどに感じているはずです。パートナーや家族は、そんな気持ちに気を配りながら、「今日の調子はどうだった?」と、聞いてみるようにしましょう。また、“その経験や変化を通してどんな気持ちになったのか”をたずね、「うれしかったね」「大変だったね」と、お互いの気持ちを共有してみましょう。思いやりのあるコミュニケーションが、妊婦さんの心の支えになるはずです。
まとめ
妊娠初期や産後はとくにホルモンの変化が激しく、心身ともにつらいこともあるでしょう。しかし妊婦さんのホルモンの変化は、子どもを産み育てるためにもともと備わっている力であり、おなかの赤ちゃんの生きようとする力のあらわれでもあります。
心身の激しい変化を乗り切るためには、生活習慣を見直すことも大切ですが、ひとりで頑張らず医師に相談したり家族の協力を得るようにしましょう。
妊娠中の心や体について不安や疑問に思うことがあれば、かかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
この記事は2021年10月6日時点の情報です。
※2024年1月 株式会社RJCリサーチ調べ インターネット調査 調査対象:産婦人科、産科、婦人科、生殖医療関連診療科 150名
Last Updated : 2021/Sep/30 | LMR-CH-20210907-33