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【医師監修】妊婦さんに多い膀胱炎。妊娠に影響はある?
妊婦さんが膀胱炎になりやすい理由
(1)尿の通り道が圧迫される
子宮が大きくなると、子宮の近くにある尿の通り道が圧迫されることで、尿が出にくくなり、溜まりやすくなります。そのため尿に細菌が繁殖しやすく、膀胱炎の原因になります。
(2)尿の通り道の筋肉が緩む
妊娠中に分泌されるプロゲステロンというホルモンは、尿の通り道の筋肉を緩める作用があります。この作用によって、膀胱に尿が残りやすくなり、膀胱炎を起こす原因になります。また、膀胱の細菌が尿管を逆流して、腎臓の中の腎盂(じんう)に達し増殖すると腎盂腎炎となります。
膀胱炎の4つの症状
(1)頻尿
一般的に朝起きて寝るまでの間に、排尿回数が8回以上ある場合を頻尿と言います。
(2)排尿時痛
排尿時痛は、尿を出すときに感じる痛みのことです。多くは排尿の終わりごろに痛みを感じます。
(3)残尿感
排尿後も尿の残った感じがするのが残尿感です。下腹部が重い、すっきりしないなどの症状がみられる場合もあります。
(4)血尿
血尿は、尿に血が混じる症状です。目に見えて尿が赤い場合もあれば、尿検査で血尿とわかる場合もあります。
膀胱炎から腎盂腎炎(じんうじんえん)になることも
通常、膀胱炎で熱が出ることはありません 。しかし、膀胱炎の症状のほかに、高熱やだるさ、背中の痛みなどの症状を伴う場合には、腎盂腎炎をおこしている可能性があります。
放置して治療の時期が遅れてしまうと、腎臓の機能低下や、敗血症と呼ばれる全身の感染症に進行することもあります。また、炎症によって子宮収縮が生じて、流産・早産になってしまう可能性も。
膀胱炎や腎盂腎炎の症状が見られたら、すみやかにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。
妊婦さんが膀胱炎にならないために気をつけること
トイレを我慢しない
尿意を感じたら我慢せずに、すぐトイレに行くようにしましょう。
外出前にトイレに行っておく、出先のトイレの場所を確認しておく、仕事中であれば離席しやすいように考慮してもらうなど、急な尿意にも対応できるようにすると安心です。
水分をしっかりとる
こまめに水分をとるようにしましょう。水分を十分とることで尿量が増え、膀胱内に細菌が入っても尿と一緒に流し出せます。
妊婦さんにおすすめの水分は、水またはノンカフェインのものです。コーヒーや紅茶、緑茶などにはカフェインが含まれています。カフェインの入った飲料を飲むと頻尿になりやすいだけでなく、大量に摂取すると赤ちゃんへの影響も心配されます。
排便後のおしりの拭き方は前から後ろへ
排便後は、肛門を前から後ろに向かって拭くことも、膀胱炎の予防に効果があるといわれています。排尿後も同様にし、外陰部を清潔に保つようにしましょう。
体を冷やさない
下半身の冷えは頻尿の原因になります。寒い場所での作業は避ける、冷房で足元が冷えるときは膝掛けなどで調整する、冬の外出時にはカイロを利用するなどして冷え対策を行うようにしましょう。
妊娠中に膀胱炎になったらかかりつけ医に相談を
膀胱炎はもともと女性に多い疾患ですが、妊娠中はさらに膀胱に細菌が入りやすい状態になります。膀胱炎の症状が悪化すると、おなかの赤ちゃんに影響を与えることもあります。
頻尿や残尿感などの症状が出た場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。
この記事は2021年10月19日時点の情報です。
Last Updated : 2022/May/30 | CH-20211012-18