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【医師監修】妊婦さんは塩分をどれくらいとっていいの?減塩のポイント
妊娠中はつわりなどの体調の変化により、食事作りがままならなかったり、味覚が変わってしまい食べられるもの、食べたいものが偏ってしまったりして、食事をコントロールするのに苦労することがあります。しかし、妊娠中食べたくなるものとしてよく知られるファーストフードのポテトや、ポテトチップスなど、同じものばかり食べてしまうと塩分の過剰摂取になってしまいます。
妊婦さんへのアンケート調査※では、76.6%が妊娠中に推奨される食行動として「食塩は控えめにすること」を知っているにもかかわらず、「理想的な食生活を実践できていない」と答える妊婦さんが54.4%もいることから、バランスのよい食生活をしたほうがいいと分かってはいても、その実践に苦労している方が多いことがよくわかります。
※厚生労働省「平成 29 年度子ども・子育て支援推進調査研究事業」妊産婦等への食育推進に関する調査報告書
妊婦さんは塩分のとりすぎになりやすい
そもそも20〜30代の女性はそれ以上の年代の女性と比べ、日常的に外食や加工食品から塩分を摂取しがちだと言われています。1日の食事量にもよりますが、これは塩分の過剰摂取に繋がりやすく、むくみ、高血圧を引き起こすことがあります。特に高血圧による動脈硬化は、脳梗塞や心筋梗塞などの原因となります。
加えて、妊娠にマイナートラブルはつきもの。むしろなにも悩みなく妊娠、出産ができる人は稀です。そんなマイナートラブルで多いのは、特にむくみや、体のだるさなど。塩分の摂取も多すぎると、むくみがさらにひどくなるなど、赤ちゃんを育てるための体内のバランスがくずれやすくなるため注意が必要です。
妊婦さんは塩分を1日どれくらいとっていいの?
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」で規定されている成人女性の1日あたりの食塩摂取目標量は6.5g未満であるのに対して、成人女性の摂取量の平均は9.3gと、多くの女性は、目標量を超えていることになります。
また、妊婦さんは通常よりも積極的に栄養素を摂るよう、栄養摂取目標が多めに設定されている栄養素があります。例えばたんぱく質、鉄分、葉酸です。それをクリアしようとすると食事量は増えてしまいますが、塩分は妊娠前と同じ6.5gに抑えなければなりません。
食塩6.5gってどれくらい?
たとえば、うどんやラーメンはスープも含めると1人前で5gくらいの食塩が入っています。牛丼や幕の内弁当だと3〜4gくらい。6.5gなどあっという間に摂取してしまうので、塩分を摂りすぎないよう、ふだんから意識する必要があるのです。
妊婦さんが塩分を摂りすぎないために避けたい食べものは?
毎食、塩分を計算して食事をするのは大変ですから、塩分の多い食品を覚えておきましょう。
- 味噌汁、スープなど
- 漬け物、梅干しなど
- ちくわ、かまぼこなどの練り製品
- あじの開き、みりん干し、塩鮭など
- ハムやソーセージなどの加工肉
- うどん、ラーメンなどの麺類
- せんべい、ポテトチップスなど
妊婦さんが塩分を摂りすぎないためにできる工夫
これらを踏まえて妊婦さんができる工夫はほかにもあります。
- 味噌汁やスープ、麺類などは汁を残す。また、サラダにドレッシングをかけすぎないよう注意する。
- 味付けは、減塩調味料を上手に利用する。また、酢・レモン汁・ポン酢等の酸味や、だしの風味を使う。
- 煮物は塩分が多くなってしまうので、揚げる,焼く,茹でる,蒸すなど調理法で工夫する。
- 調味料を軽量スプーンで測る習慣をつける。
- 食品を購入するとき、栄養成分表示を確認する習慣をつける。
※ナトリウム量、約400mg=食塩相当量1gで確認することができます - 塩分を摂りすぎたとき調整してくれる機能を持つ、カリウムを意識して摂取する。
※野菜、果物、大豆などの豆製品、海藻などに多く含まれます。
また、できれば外食やコンビニのお弁当の食べ過ぎも避けたいですが、妊娠中の調理が負担という方も少なくないでしょう。体が辛い時にがんばって料理をして体に負担をかけては本末転倒。妊婦さんが栄養バランスのよい食生活を実現するためには、周囲の理解とサポートは欠かせません。家族と話し合い、食事の準備を分担したり、調理の手間を減らす工夫を考えたりすることも大切です。
塩分を控えたら妊娠高血圧症候群はよくなる?
妊娠中に気をつけたい症状に「妊娠高血圧症候群」があります。妊娠時に高血圧を発症し、尿にたんぱくが認められるもので、重症化すると母体にも胎児にも影響が出るものです。
高血圧症の人は塩分摂取に気をつけなければならないというイメージがありますが、実は過度に塩分を制限しても妊娠高血圧症候群への効果はあまりないと考えられています。妊娠高血圧症候群の方も厚生労働省で規定されている食塩摂取目標量を目指すように心がけ、医師の指導を受けましょう。
まとめ
おなかで赤ちゃんを育てる妊婦さんにとって、塩分の過剰摂取はマイナートラブルの原因になりかねません。ところが塩分の摂取量を抑えることは意外に難しいため、食生活を変える必要のある妊婦さんも多くいらっしゃることでしょう。
しかし、健やかなマタニティライフを送るためにも、無理せずにまずはできる工夫から少しずつ改善に取り組んでみましょう。妊娠中の栄養摂取の方法や食生活について不安や疑問に思うことがあれば、かかりつけの産婦人科医に相談してみましょう。
この記事は2021年9月14日時点の情報です。
※2024年1月 株式会社RJCリサーチ調べ インターネット調査 調査対象:産婦人科、産科、婦人科、生殖医療関連診療科 150名
Last Updated : 2022/Mar/23 | CH-20220308-24