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【管理栄養士監修】ナイアシンとは?妊婦さんが摂ったほうがいいビタミンって本当?
妊娠してから、さまざまな栄養素が気になるようになったという方もいるでしょう。今回取り上げる「ナイアシン」もそのひとつかもしれません。ナイアシンはサプリメントや化粧品によく含まれていますが、実際にどんな働きをする栄養素で、どんな食べ物に含まれているのか、詳しく知っている人は意外に少ないのではないでしょうか。
そこで今回はナイアシンとは何か、妊婦さんにとってどんなメリットのある栄養素なのかを紹介します。
ナイアシンとは
ナイアシンはビタミンB群の一種です。ナイアシンのほかに、ビタミンB1、B2、B6、B12、パントテン酸、ビオチン、そして妊活中や妊娠中に積極的な摂取が推奨されている葉酸をまとめて、ビタミンB群と呼んでいます。発見された当初はビタミンBという1種類の栄養素だと思われていましたが、その後、複数の栄養素がまとまったものであることがわかりました。
ビタミンB群は水に溶けやすい水溶性のビタミンで、血液などの体液に溶け込み、炭水化物や脂肪など、体内のさまざまな物質の代謝や細胞の機能を助けています。 ナイアシンも生命の維持やホルモンの合成に関わります。
ニコチンアミド(ナイアシンアミド)とニコチン酸
そしてビタミンB群が複数の栄養素の総称であるのと同様、ナイアシンも実は、複数の化合物の総称なのです。
一般に「ナイアシン」と呼ばれている化合物は、大きく2種類あります。ひとつはニコチンアミド(ナイアシンアミド)、もうひとつはニコチン酸です。なぜ2種類あるのかというと、それはナイアシンが動物性食品に含まれるときと植物性食品に含まれるときとで、かたちを変えているためです。ナイアシンは、動物性食品に含まれるときにはニコチンアミドという化合物になっていますが、植物性食品に含まれるときにはニコチン酸という化合物となっています。どちらの状態であっても、体内に入ると小腸で速やかに吸収され、ナイアシンとして体の機能の維持に利用されます。このことから、ニコチンアミドとニコチン酸の2つをまとめて、ナイアシンと呼んでいます。
そのほかにナイアシンは、食事から摂取した栄養素をもとに体内で作られることもあります。必須アミノ酸の1種であるトリプトファンという栄養素は、体内で合成されるナイアシンのもとになります。
このようにナイアシンはいくつかの異なる化合物として食品に含まれているため、日本食品標準成分表では2015年版の七訂から、これらを合算した「ナイアシン当量」というかたちで表記されています。
ナイアシンを多く含む食品
ナイアシンは以下のような食品に多く含まれています。それぞれの食品の1食あたりのナイアシン当量を表にまとめました。
※「日本食品標準成分表2020年版 (八訂)」のデータより引用
1日あたりのナイアシンの摂取量
厚労省の日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、1日あたりのナイアシンの摂取量は以下のように定められています。
玄米ごはんには1食150gあたり5.4mgのナイアシン当量が含まれています。したがって3食の主食をすべて玄米ごはんにすると、それだけで16.2mgのナイアシン当量を摂取できることになり、男女共に1日の推奨量がクリアできます。
主食を玄米ごはんにかえる以外の方法としては、ナイアシン当量の多い鶏むね肉、たらこ、落花生などを活用すると、上手にナイアシンが摂取できそうです。かつおやまぐろについては、ナイアシン当量は多いものの、妊娠中の人は水銀の摂取量も気になるため、あまり食べすぎないほうがよいでしょう。
妊婦さんはナイアシンを摂取したほうがよい?
妊娠中は母体の健康を維持することに加えて、おなかの赤ちゃんを健やかに育てることが必要となります。そのため栄養素によっては、妊娠していないときよりも多くの量=付加量(ふかりょう)を確保する必要があるものもあります。
しかしナイアシンについては、妊婦中、体内で合成できるナイアシンの量が非妊娠時よりも増えるため、とくに付加量は設定されていません。妊娠中でも、妊娠していない女性と同様、1日あたり11~12mgを摂取することが推奨されています。またナイアシンの摂取上限量は妊娠前、妊娠後と変わらず250mgと設定されています。
栄養バランスのよい食生活を心がけましょう
ナイアシンは体内のさまざまな物質の代謝を支えていて、体に欠かせない栄養素のひとつです。食事から摂取できるほか、体内でも作られるので、日本人の食生活においては通常不足することはないでしょう。しかし極端に栄養が偏ると、まれにナイアシンが不足し体調に影響が出ることがあります。
栄養が偏らないよう、ふだんからバランスのよい食生活を心がけていくことが大切です。摂りにくい栄養素はサプリメントを活用しながら、上手に栄養摂取していきましょう。
妊活中、妊娠中の食生活や栄養素について気になることがある場合は、かかりつけの医師に相談し、心配ごとを解決していきましょう。
この記事は2021年11月11日時点の情報です。
※2024年1月 株式会社RJCリサーチ調べ インターネット調査 調査対象:産婦人科、産科、婦人科、生殖医療関連診療科 150名
Last Updated : 2022/Mar/23 | CH-20220308-24