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【管理栄養士監修】妊婦の食中毒が胎児に与える影響とは?予防する方法は?
人間の体にさまざまな害を与える食中毒。特に妊娠中は胎児に影響を与えるものもあり、しっかり予防していきたいところです。妊娠中に気を付けたい食中毒と、その予防方法について、詳しく見ていきましょう。
妊娠中に食中毒を避けたい3つの理由
妊娠中に食中毒になってしまうと、どんな影響があるのでしょうか?
子宮収縮が起こりやすい
食中毒は、嘔吐や下痢をともなうものが多いです。激しい嘔吐や下痢は、子宮収縮の原因となることがあり、早産や流産などを引き起こす可能性があります。
血栓症のリスクがある
妊娠中は、血液が固まりやすくなっているため、妊娠前に比べて血栓症(血管が血のかたまりで閉塞する病気。エコノミークラス症候群も血栓症のひとつ)のリスクが高くなっている状態です。
食中毒によって激しい嘔吐や下痢がおこると、脱水をおこしやすく、血栓症のリスクが高くなります。
胎児に感染するものもある
食中毒の原因となる細菌や寄生虫などの病原微生物の中には、胎児に感染し、胎児の将来や命に影響をおよぼすものがあります。
胎児への感染が心配される食中毒の種類
下記の病原微生物は、胎児に感染し、影響をおよぼすおそれがあります。症状や感染の原因となる食材とともに見てみましょう。
母体の症状 | 胎児への影響 | 原因食品 | |
リステリア菌※ |
軽いインフルエンザのような症状 無症状の場合もあり |
流産、早産、死産、 髄膜炎など |
加熱殺菌されていないナチュラルチーズ、 生ハム、スモークサーモン、 肉や魚のパテなど |
トキソプラズマ |
頭痛や軽い発熱程度 無症状の場合もあり |
流産、死産、早産、 脳や視力の障害 |
加熱が不十分な肉類や ヤギの生乳など |
カンピロバクター | 発熱、頭痛、下痢、腹痛 | 髄膜炎 | 加熱が不十分な肉類など |
※リステリア菌は常在菌であり、通常は汚染された食品を摂取しても食中毒を引き起こす可能性は国内では極めてまれ(100万人当たり1.00~1.60人)で、そのほとんどは高齢者です。しかし妊婦はリステリア菌に関して健康な成人の約20倍感染しやすいとの海外の報告もあります。いずれにしても宿主の健康状態が良好であれば食中毒まで発展しにくいですから、免疫能の上がる生活に配慮しましょう。
妊婦さんの体と胎児を守る、食中毒の予防法5つ
妊婦さんの体と胎児を守るため、食事をする際に取り入れたい予防法をご紹介します。
中までしっかり火を通す
肉を生で食べたり、加熱が不十分な部分があったりすると、病原微生物が生き残ってしまい、食中毒の原因になることがあります。
めやすとして、「中心部分の温度が75度で1分間以上」になるよう、加熱することが大切です。厚みがある場合、中心まで火が通っているか、食べる前に切って確認するといいですね。
特定の食べ物を避ける
ユッケや生レバーなどの加熱されていない肉類は避けましょう。また、一部のナチュラルチーズ(加熱されているプロセスチーズやハード系のチーズは問題ありません)、生ハム、スモークサーモン、肉や魚のパテなどは、リステリア菌食中毒の原因となりますので、食べるのを控えることが大切です。
冷蔵庫を過信しない
食品を冷蔵庫に入れておいても、病原微生物はゆっくりと繁殖します。特に夏場は、庫内の温度が上がりますので、食品の温度も上がりやすくなります。
食品は早めに食べること、封を開けた食品は早めに食べきることが大切です。
免疫能を上げる
食中毒に限らず、健康維持のために免疫能を強化することの重要性は言うまでもありませんね。食生活に気をつけることはもちろん、早寝を心掛け、過労や睡眠不足に十分注意しましょう。よく笑う習慣も大切です。
当たり前の食中毒予防を大切にする
- 調理後の料理は長時間室温に放置しない。特に35~40℃は食中毒菌が増えやすいので、急速に冷やすか、再加熱をよくする。
- 夏場は、洗った水の水温によっては生野菜のカット後に蒸れて、腐敗することがあるため、速やかに冷蔵庫に。
- 調理・食事の前には手をよく洗う。
- 清潔な調理器具やふきんを使う。
肉や魚は特に食中毒菌が付着しているリスクが高いです。これらに使用したまな板や包丁はよく洗浄してから、生食するものに使用するか、使用面を分けるなど配慮しましょう。
食中毒の予防法を実践して、妊娠中の食事を楽しみましょう
妊娠中の食中毒は胎児への影響が心配されます。そのため、妊娠中の食事は、できる限り加熱した食品を食べることがすすめられます。今回お話ししたような母体や胎児への影響をなくすためにも、食中毒の予防法を実践し、食事を楽しむ工夫をしてみましょう。
妊娠中の食事について、疑問や不安なことがあればかかりつけの医師に相談しましょう。
この記事は2021年10月4日時点の情報です。
Last Updated : 2021/June/28 | LMR-CH-20210714-06