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【医師監修】妊娠中の食事と子どものアトピー性皮膚炎は関係ある?
アトピー性皮膚炎は、アレルギー疾患の一種です。最近では2人に1人がなんらかのアレルギーを持っているといわれるほど、アレルギーのある人が増えていることから、中には「妊娠中の食事が、おなかの赤ちゃんのアトピー性皮膚炎を引き起こすのでは」と心配になっている妊婦さんも多いでしょう。妊娠中の食事は赤ちゃんのアトピー性皮膚炎に関係するのでしょうか。
チョコレートやスナック菓子を妊娠中に食べると、おなかの子がアトピー性皮膚炎になることはありますか?
おなかの赤ちゃんのことを心配して、妊娠中に、赤ちゃんの健康に影響が現れそうな食品(例えば卵、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、小麦など)の摂取を控えたり、チョコレートやスナック菓子、ケーキなどをあえて食べないようにしているという話を耳にします。中でもアトピー性皮膚炎を気にしている人は少なくないようです。
妊娠中のチョコレートやスナック菓子が、胎児のアトピー性皮膚炎発症に影響することは証明されていない
妊娠中の食事が胎児に与える影響については、たくさんの研究が行われています。そうした研究結果を踏まえた結果、現在では、妊娠中に特定の食品の摂取を制限しても、おなかの赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の発症を抑制する効果はないということがわかっています。むしろ食事制限をすることにより、妊娠中に十分な体重増加ができなかったり、赤ちゃんの成長を妨げたりする影響があります。
以前は妊娠中、特定の食品を避けるような指導をしていたこともあるようですが、こうした理由で現在は行われていないようです。
したがって妊娠中のチョコレートやスナック菓子も、それと同じと考えられます。食べなかったからといって赤ちゃんのアトピー性皮膚炎を予防できるわけではなく、反対に食べたからといって赤ちゃんのアトピー性皮膚炎発症が促されるとはいえません。「チョコレートやスナック菓子を食べることで赤ちゃんがアレルギーやアトピーになる」という情報は、単なるうわさと考えてよいでしょう。
ただし、アトピー性皮膚炎にはならないかもしれませんが、チョコレートもスナック菓子もハイカロリーな食べ物です。食べすぎると必要以上の体重の増加につながることがあるので気をつけましょう。
アトピー性皮膚炎は遺伝する?
ここであらためて、アトピー性皮膚炎とはどんな病気なのか、確認しておきましょう。また「アトピーは遺伝する」といわれることもありますが、本当に遺伝するのかについても確認してみましょう。
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を主とするアレルギー疾患で、患者さんの多くは「アトピー素因」を持っています。
年齢により症状が出やすい部位が異なるのも特徴です。乳児期は、頭や顔から湿疹が出始めることが多いとされています。
乳幼児期から発症し小児期にかけて症状が治まっていきますが、一部の方は再発を繰り返し、成人まで慢性的に症状が持続することもあります。
アトピー性皮膚炎の発症には遺伝的要素が関係していることも
アトピー性皮膚炎かどうかを診断する際には、皮膚の状態を調べるとともに、家族にアトピー性皮膚炎の人がいるかどうかなどの確認もされます。なぜならアトピーの発症には遺伝的影響も関係するといわれているからです。現在では、いくつかの遺伝子がアトピー性皮膚炎と関連することが報告されています。
しかしアトピー性皮膚炎を発症するかどうかは、遺伝だけに原因があるのではなく、環境のさまざまな要因が関わり合っているといわれています。
まとめ
妊娠中の食事制限と赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の発症の関係を調べた研究によると、食事制限をした人のグループとしなかった人のグループとに意味のある差はなかったそうです。もし生まれた赤ちゃんにアトピー性皮膚炎があったとしても、それは妊娠中の行動が影響しているわけではありません。
妊娠中は食事の制限をするよりもむしろ、バランスよく食べて適切に栄養を摂取することが、妊婦さんと赤ちゃんの健康維持にとって大切といえます。特定の食品にこだわらず、バランスのよい食事を心掛け、健やかな体を維持しましょう。
妊活中、妊娠中の栄養摂取についてわからないことや不安なことがあれば、かかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
この記事は2021年10月11日時点の情報です。
※2024年1月 株式会社RJCリサーチ調べ インターネット調査 調査対象:産婦人科、産科、婦人科、生殖医療関連診療科 150名
Last Updated : 2022/Apr/5 | CH-20220328-12