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~あせらず前向きに今を乗り越えよう~
俵IVFクリニック 理事長、院長 俵 史子先生
新型コロナウイルスの感染が世界中で広がり、日本でも緊急事態宣言が発令され、外出もままならない不自由な生活が続いています。メディアからは連日、新型コロナウイルス関連の様々な情報が流され、不安を抱えている妊活中の方も数多くいらっしゃるでしょう。
今回は、妊娠しやすい体質づくりを目指した生活指導も積極的に取り入れ、約8,000組のカップルの妊娠を成立させた実績を持つ「俵IVFクリニック」の俵史子先生に、新型コロナウイルスが与える妊活・妊娠への影響や、今できる妊活についてお話を伺いました。
※ バイエル薬品(株)から俵史子先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。
― ―Stay homeを活かして今だからできる妊活を
新型コロナウイルスが流行し、多くの妊娠したい方のなかに様々なあせりが生じているのではないかと思います。あせりは妊娠には好ましくないストレスとなるので、気持ちの持っていき方や考え方を変えて、ストレスを軽くすることが大切です。
普段より時間があるこういう時期だからこそできる妊活はたくさんあります。普段後回しになりがちなことを見つめ直して、今から実践してみましょう。
今をチャンスととらえて、ポジティブな方向へ持っていく頭の切り替えを、ぜひ妊活中の方にはしていただきたいです。
― ―妊活延期の検討も新型コロナウイルスと闘うための選択肢のひとつ
4月1日に、各学会を通じて「延期ができる不妊治療については考慮してください。不妊治療の延期について主治医と患者さんで相談し、治療をどのようにしていくか検討してください」という内容の声明が出されました。
このような声明が出された一番の大きな理由は、新型コロナウイルスが妊婦や胎児にどのような影響を与えるのか、まだわかっていないからです。また、感染予防の観点から、妊婦検診に支障がでたり、家族の立会分娩や面会に制限がかかるかもしれません。分娩時に感染していた場合には、陰性になるまで赤ちゃんに会うことも授乳することもできないでしょう。妊婦と胎児に対するリスクと、医療機関の体制に関するリスクを確認した上で、個々の状態を考慮しながら、妊活や不妊治療を継続するか延期するかを判断していく必要があります。不妊治療費助成の基準が2020年度に限り引き上げられたのは、前向きな情報のひとつかもしれません。
― ―こんな時だからこそ、妊娠しやすいカラダづくりに励もう
妊活のスタートラインに立ったとき、女性側も男性側も妊娠しやすい身体の状態になっていることが重要です。体調を整えておくことは排卵リズムや着床環境に良い影響を与える可能性があり、時間的な余裕のある今が、基本的な生活習慣を改善するチャンスです。可能な範囲で十分な睡眠時間をとって体を休ませ、夜更かしはせずに暗い時間はなるべく睡眠をとり、朝日が出る時間には起床して、生活のリズムを整えましょう。運動やゆっくりお風呂に入ることも、より良い睡眠につながりストレスが軽減するので良いでしょう。
標準体重を保つことも、身体づくりのひとつです。一般的に不妊治療では、適切な体重や食事量は、BMI(体重と身長から算出する肥満や痩せの指標)に応じて指導されています。妊娠しやすいと考えられるその人の適正体重を目標に、モチベーションをアップしながら取り組めると良いかもしれません。
これから夏に向かいますが、女性は冷えを気にする人が多く、なかには夏場でもエアコンを過度に避けて、暑い中で生活する人がいます。妊娠のためには血液循環が悪くなる冷えは確かによくないのですが、逆に熱を持ってしまうのもよくありません。そういった極端な生活は、男性の妊活にもよくないので男女ともに控えましょう。
― ―出所の確かな情報を選択し、心の安定を保ちましょう
SNSの情報は、どれが正しくて、どれが正しくないかという判断が本当に難しいので、振り回されないようにしましょう。
お勧めは、日本産科婦人科学会・医会や日本産婦人科感染症学会などの、学会が出している新型コロナウイルスに対する声明です。医療者へだけでなく、妊娠したい方や妊娠した方へ向けても、わかりやすい言葉で説明されています。
その他の情報は、情報元が明記されているものや医師の監修が入ったものを目安に利用していただくと良いと思います。
妊活や不妊治療は個々によって状況が違います。最終的にはおふたりで判断されることですが、困った時は主治医に相談したり、専門家の情報を参考にして、前向きに過ごしましょう。
Dr.俵のチェックポイント!
Stay Homeを貴重なおうち時間ととらえ、今だからこそできる妊活を
妊活延期の検討も新型コロナウイルスと闘うための選択肢のひとつ
「妊娠しやすいカラダづくり」まずは生活習慣のみなおしから
心の安定も妊活の大切な要素。情報は出所の確かなものを選択しましょう
※本インタビューは2020年4月30日に実施されました。
※最新の情報に関しては学会ホームページ等も併せてご参照ください。
Last Updated : 2020/Oct/29 | CH-20221205-11