トップ>妊活TOP>特集 2022年4月不妊治療の保険適用開始> 不妊治療の保険適用ってなあに?前編:不妊治療ってどんな治療をするの?
公的医療機関による保険適用ニュース最新情報
前編:不妊治療ってどんな治療をするの?
- 不妊治療ってどんな治療をするの?
- 体外受精などの生殖補助医療って何ですか?
2022年4月から、いよいよ不妊治療の保険適用がスタートします。開始に向けて情報が少なく、不安に過ごしている方も多いのではないでしょうか。
今回は、妊活をはじめたばかりで、そもそも不妊治療ってなに? という方から、現在不妊治療中の方に向けて、ポイントをわかりやすく解説します。
まずはじめに
不妊治療ってどんな治療をするの?
不妊症ってなに?
妊娠を希望している男女が、ある期間避妊することなく性交渉を行っているにもかかわらず妊娠せず、治療を必要とする場合に不妊症であるとされています。期間は一般的に1年が目安といわれています。しかし、月経不順で無排卵であったり、子宮内膜症※1など原因が明らかな場合や、年齢が高い場合には、1年を待たずに病院を受診することが勧められています。
※1 子宮内膜症:子宮内膜の組織が、卵巣や卵管など、子宮内腔以外の場所で増殖する病気。進行するとチョコレート状ののう胞を形成し、卵巣の腫れや臓器同士の癒着を起こすことがある。
不妊の原因について
不妊治療というと女性が注目されがちですが、半数は男性側にも原因があるといわれています。たとえば、精子の通り道が塞がっている、精子の数が少ない・奇形がある、性交渉ができないなど、いろいろなケースがあります。そのため、治療開始時には、男女ともに受診し、検査を受けることが大切になります。不妊の原因となる疾患が明らかとなったら、原因に応じて治療(薬物療法や手術)を行います。
不妊症の7273カップルの原因調査*
※WHO調査、1996年
一般不妊治療とは?
検査をしても、はっきりとした不妊原因がみつからないこともあります(機能性不妊)。この場合は、妊娠の確率を上げるための方法として、基礎体温表や超音波検査などで排卵時期を予測し、性交渉のタイミングを合わせる「タイミング法」や、精子を採取し、受精率を高めるために、運動性が低いものや形がよくないものを取り除いたのち、女性の子宮に注入する「人工授精」を行います。タイミング法や人工授精は「一般不妊治療」と呼ばれ、費用や身体的な負担が比較的軽い治療法です。
生殖補助医療へのステップアップ
一般不妊治療(タイミング法や人工授精)をある程度行っても妊娠せず、さらに治療の継続を希望する場合には、より高度な治療法である「生殖補助医療」へステップアップを検討します。
生殖補助医療とは、体の外で卵子と精子を受精させる過程を含む不妊治療のことをいい、体外受精や顕微授精があります。また、助成金制度(後述)を利用する場合は、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療は、「特定不妊治療」と呼ばれています。
年齢が高く(36歳以上)、子宮内膜症があるなど、一般不妊治療を行っても妊娠が難しいと医師が判断した場合は、一般不妊治療を行わないで、はじめから生殖補助医療を行うこともあります。
不妊治療の流れ
生殖補助医療(体外受精・顕微授精)の流れ
体外受精などの生殖補助医療って何ですか?
生殖補助医療では、卵巣から卵子を取り出し(採卵)、シャーレの中で採取した精子(採精)と一緒にして受精させてから(体外受精)、数日間受精卵を育てて胚と呼ばれる状態にした後に(胚培養)、子宮内に戻す(胚移植)のが、大きな流れとなります。顕微授精は体外受精の一種ですが、取り出した卵子に精子を直接注入して受精させる方法です。
育てた胚は採卵した数日後に子宮内に戻すこともありますが(新鮮胚移植)、凍結させて保存しておき、子宮環境を整えてから、移植することもあります(凍結胚移植)。
生殖補助医療は、卵子を育てるためにホルモン注射を毎日行ったり、採卵時に痛みがあるなどの身体的負担、採卵のタイミングが必ずしも計画通りにはならず仕事の予定が調整しづらいなど社会的負担があります。また自費診療のため※2、経済的負担も大きい治療です。このため、従来から患者さんの負担を軽減してほしいという働きかけがされてきました。
※2 2022年3月現在
①採卵
麻酔を行ってから、卵巣に針を刺して成熟した卵子を採取します。
ヒトは基本的に毎月1個の卵胞が発育し、その中の1個の卵子が卵巣から排卵されますが、生殖補助医療では一度に複数の成熟卵子を採取するために、採卵前に薬剤(排卵誘発剤)を使用して卵巣中の卵胞の発育を刺激(卵巣刺激)することがあります。卵巣刺激の方法は複数あり、患者さんの希望、年齢、卵巣予備能※3、ホルモン値などを考慮して決定します。
採卵
②採精
男性が自身で精液を採取する(自己射出)または手術によって精子を採取し、使用可能な状態に精製します。
採精した精子の精製
③体外受精・顕微授精
採取した卵子と採取・精製した精子を受精させます。卵子を入れた培養液に調整した精子を加え、シャーレの中で受精させる体外受精と、顕微鏡を用いて人の手で卵子に精子を直接注入し、受精させる顕微授精があります。
④胚培養
体外受精・顕微授精によって得られた受精卵を培養し、胚(発育を始めた受精卵のこと)を子宮内に移植するまで、または胚を凍結保存するまでの間、培養液内で発育させます。胚の凍結保存は、複数の胚が作成できた場合や全胚凍結※4周期である場合に行います。
➄胚移植
培養液内で発育させた胚を子宮内の適切な場所に移植します。胚移植には、新鮮胚移植と凍結胚移植があります。
新鮮胚移植
採卵後すぐ(採卵の2~5日後)に胚移植を行います。採卵前に強い卵巣刺激(調整卵巣刺激法)を行った場合は黄体機能不全※5となる可能性が高いため、黄体ホルモンの補充が必要となります。
凍結胚移植
凍結保存していた胚を融解し、採卵周期とは別の周期に移植を行います。移植時に胚のステージ(培養日数)と子宮内膜の状態を合わせる必要があり、自然排卵後に移植する場合(自然排卵周期)と、ホルモン製剤を使用して子宮内膜の状態を調整してから移植する場合(ホルモン補充周期)があります。
※3 卵巣予備能:卵子の元となる卵母細胞の数は母親の胎内にいる頃(妊娠中)が最も多く、成長とともに減っていく。卵巣予備能は、卵巣内に卵子がどれくらい残っているかを示す。
※4 全胚凍結:採卵で得られた胚をその周期には1つも移植せず、全て凍らせて保存し、別の周期に移植する方法。採卵周期に移植すると女性に危険が及ぶと判断される場合や、凍結して移植した方が採卵した周期に(凍結しないで)移植した場合よりも着床率が高いと考えられる場合に行われる。
※5 黄体機能不全:通常は排卵すると卵巣内に残った卵胞は黄体化して黄体ホルモンを分泌し、子宮内膜を厚くするが、黄体ホルモンの分泌量が少ない、または分泌期間が短い状態のこと。
体外受精・顕微授精/胚培養/胚移植
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Last Updated : 2022/Mar/30 | CH-20220328-09