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排卵日が遅れているかも?考えられる原因と対策
妊活中の女性にとって、月経周期(生理周期)の乱れは気になるものです。タイミング法などの妊活の予定が立てにくくなったり、自分の体調も心配になります。なぜ、排卵日が遅れることがあるのでしょうか。
ここでは、妊娠や排卵の仕組みを理解し、排卵日が遅れる原因やその対策について詳しく見ていきましょう。
妊娠の仕組み
「排卵の遅れ」について考える前に、まず妊娠の仕組みについて理解しましょう。
妊娠とは、卵子が精子と出会って受精し、受精卵(胚)が子宮内膜に着床して成長するプロセスによって成り立ちます。
月に1回、卵巣から1つの卵子が排卵され、卵管の先にある卵管采に取り込まれて、少し奥に入った卵管膨大部というところで精子との出会いを待ちます。
一方、腟内に射精された精子は、子宮頸管を通って子宮から卵管へ泳ぎながら向かいます。そして、卵子と1つの精子が出会い受精すると「受精卵」になります。
受精卵は約1週間をかけて細胞分裂を繰り返しながら卵管を通って子宮へ到着し、子宮内膜にもぐって着床します。
その後、着床した受精卵が順調に成長すると、妊娠の反応が確認できます。一般的な妊娠検査薬は、月経開始予定日の1週間後(妊娠5週ころ)から使用できます。
排卵はどうやって起こる?
次に、排卵がどのように行われるのか、順を追ってみていきましょう。
女性の体内には、子宮をはさんで左右にひとつずつ卵巣があり、その中には卵子を包んだ卵胞がたくさんあります。
月経の終わり頃になると、脳の下垂体から、卵巣に向けて卵胞を育てるように指示するホルモンが分泌されます。そのホルモンの刺激によって、いくつかの卵胞が発育し始めますが、その中から通常1個の卵胞が成熟していきます。
卵胞が十分に成熟するとエストロゲンという女性ホルモンが分泌されます。エストロゲンの量が多くなると、卵胞が成熟したことを脳が感知して、下垂体から排卵を促すLH(黄体形成ホルモン)が多量に分泌されます。この刺激により卵胞から卵子が飛び出す排卵がおこります。
排卵日と月経、基礎体温との関係は?
安静時の体温のことを「基礎体温」といい、起床時に寝たままの状態で舌下に基礎体温計はさんで測ります。
女性の基礎体温は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で数値が上がったり、下がったりを繰り返します。
通常、月経から排卵までの間にエストロゲンの分泌が多くなり、体温が下がります。また、排卵が起こるとプロゲステロンの分泌が増えていき、体温が上がります。
正常な月経周期の場合、月経が始まってから排卵が起こるまでは「低温期」が、排卵後から次の月経が始まるまでは「高温期」が続きます。基礎体温表を見ると、低温期と高温期を示すことがわかるでしょう。
高温期は約14日間続き、妊娠していない場合は、子宮内膜がはがれて月経が始まり、次の排卵まで低温期が続きます。もし、高温期のタイミングで受精卵が着床して妊娠していれば、月経予定(生理予定日)になっても基礎体温は低下せず、高温期が続きます。
高温期と低温期の変化がない場合は、月経があっても排卵されていない可能性があります。不妊治療では、排卵がうまくできていない場合、排卵誘発剤が処方されることがあります。
このように、基礎体温は排卵日の予測に役立ちます。ただし、個人差があるため、排卵日を基礎体温だけで正確に判断するのは難しい場合があります。そういったときは、専門家に相談するのもひとつの方法です。
排卵日・排卵後に起こる体の変化にはどんなものがある?
排卵日・排卵後は、女性の身体にはどのような変化があるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。
<排卵日>
・排卵痛(下腹部の痛み)
排卵では、卵子が卵胞を破り、卵巣の膜を破って排出するため下腹部痛が起こることがあります。これが「排卵痛」です。「排卵痛」には個人差があり、痛みが軽くほとんど感じない方もいますが、痛みが強く、鎮痛剤を服用する必要がある方もいます。
・不正出血(排卵期出血)
卵巣の膜を破って卵子が排出される際に少量の排卵出血がみられることがあります。
<排卵後>
・基礎体温
排卵後は黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で基礎体温が上がり、高温期が2週間ほど続きます。
・おりもの
排卵前は量が多く透明でサラサラだったおりものが、排卵後には量が減って、白っぽくなり粘り気が出てきます。
・子宮内膜
排卵後、卵胞は黄体になってプロゲステロンというホルモンを分泌します。プロゲステロンの作用により、子宮内膜は徐々に厚みを増して、受精卵が着床しやすい状態に変化します。
・眠気
排卵後は、プロゲステロンの影響で基礎体温が上がり高温期に入ります。この頃の女性の体温は1日を通してメリハリがありません。そのため睡眠が浅くなり、日中、眠気が強くなると考えられています。
・胸の張り
プロゲステロンの影響で乳腺を刺激されるため、乳房が張りやすくなります。痛みがある方もいます。
・むくみ
プロゲステロンの影響で、水分をため込みやすくなり、むくみが出やすくなります。
・感情の変化
イライラしたり、怒りっぽくなったりと、精神状態や体調が不安定になる方がいます。ゆったりと過ごすようにしましょう。
排卵日の遅れ・月経不順になる原因として考えられること
正常な月経は25日~38日周期と定義されています。これにあてはまらないものが「月経不順(生理不順)」、つまり月経異常とされます。排卵日の遅れや月経不順になる理由はさまざまです。
例えば、仕事や家庭でのストレスや転職、引っ越しなどによる環境の変化、精神的な悩み、過度なダイエットなどにより月経不順になることがあります。
妊活中の女性にとって、排卵日の遅れは気になるもの。生活習慣や食生活を見直し、リラックスできる方法を見つけるようにしましょう。
排卵日の遅れや月経不順の場合に考えられる病気
排卵日の遅れや月経不順は、ストレスや精神的な原因だけでなく、病気が影響している可能性もあるので注意が必要です。少しでも異変を感じたら、病院で診察を受けることも大切です。
・多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)(PCOS)
卵巣で卵胞が発育するのに時間がかかってなかなか排卵しない病気です。卵巣中にはたくさんの小さな卵胞(嚢胞)がみられ、月経異常があり、男性ホルモン値が高くなります。女性の約5〜10%に発症し、不妊症の原因として一般的です。
・無排卵周期症
月経のような出血があるのに排卵がない状態です。月経周期が不順で、月経持続期間の短縮や延長、月経量の異常、そして基礎体温が一相性を示します。この病気の裏には、多嚢胞性卵巣症候群などが潜んでいる場合があるので注意が必要です。
・黄体機能不全
卵巣の黄体から分泌されるホルモン(プロゲステロン)は子宮内膜を厚くし、受精卵の着床に適した状態にします。 黄体機能不全はプロゲステロンの分泌や黄体期の期間が不十分であることを指します。受精卵の着床障害を起こして、不妊や流産の原因になると考えられます。
・高プロラクチン血症
プロラクチン(乳腺刺激ホルモン)は本来出産後に多く分泌され、母乳分泌促進作用があります。出産や授乳をしていないのにプロラクチンの数値が高い状態を高いプロラクチン血症といいます。卵胞発育障害や排卵障害が起こり、月経不順や無月経、乳汁分泌などの症状をきたします。
排卵日の遅れや、月経不順がある場合は産婦人科を受診しましょう
排卵日の遅れや月経不順は、ストレスや過度なダイエット、運動、環境の変化など、さまざまな原因が考えらえます。また、月経周期の乱れは生活習慣も関係しています。
注意したいのは、思いもよらない病気が絡んでいる可能性があることです。
排卵日や月経の乱れは、妊娠を希望する方にとって大きな問題です。これくらいなら大丈夫だろう…と自己判断せず、できるだけ早めに、産婦人科を受診して医師に相談しましょう。
将来赤ちゃんが欲しいと願う女性やカップルにとって、健康のために取り組みたいことは他にもあります。「プレコンセプションケア」という言葉を知っていますか?妊活のために何ができるか見てみましょう。
Last Updated : 2024/Apr/11 | CH-20240405-03