トップ>女性の健康ニュース(妊活・妊娠)>「エレビット」がプレコンセプションケアをテーマとしたセミナー「産婦人科医と一緒に考える私らしいライフプラン」に参加しました
「エレビット」がプレコンセプションケアをテーマとしたセミナー「産婦人科医と一緒に考える私らしいライフプラン」に参加しました
2023年8月15日
7月12日(水)、芸人のバービーさんをゲストに迎え、プレコンセプションケアをテーマとしたセミナーが名古屋で開催されました。
「産婦人科医と一緒に考える私らしいライフプラン~月経の付き合い方から将来の妊娠の備えまで~」と題したそのセミナーは、観客をむかえるだけでなく、オンラインで無料配信され、各地でプレコンセプションケアに関心のある多くの女性が聴講されました。
今回は、そのセミナーの様子をご紹介いたします。
※プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことです。今すぐのお子さんを考えていらっしゃらない方、まだお子さんが欲しいかわからないという方にも、知っていただきたい知識です。
最初に登壇されたのは、日本を代表する不妊治療の専門家であり、長年にわたり卵子研究で世界をリードしてきた、堤治(つつみおさむ)先生です。
将来への備えとして~卵子凍結のメリットデメリット
まず堤先生が語られたのは、日本の不妊治療に関する現状についてです。日本での治療数は他国に比べて多いけれど、妊娠率は低いという結果から「40歳、45歳以上の人が多く治療を受けていることが理由。35歳と比べると、この年代の治療は100倍の苦労がある」と話す堤先生。「安心して妊娠・出産・子育てをサポートする体制が、日本の社会ではできていない。ライフプランに関する教育が足りていない」と、するどく社会問題に切り込む姿が印象的でした。
さらに「卵子凍結、あまり耳になじみがないかもしれませんが」と、前置きをし、卵子は年齢とともに数が減り質も下がるが、若い時凍結した卵子は、そのクオリティを5年でも10年でも、100年でも維持できるという、卵子凍結のメリットを説明。
続けて、妊娠を保証するものではないこと、心身の負担、経済的負担、高齢出産のリスクといったデメリットについても説明してくださいました。
「女性には、『産みたいときに産み、産みたくないときは産まない権利』とされるリプロダクティブヘルスがありますが、卵子凍結は、このリプロダクティブヘルスを守る有力な手段です」と強く語る堤先生の言葉に、参加者はみな大きくうなずいていました。
2人目の講演者として登壇したのは、産婦人科医師のまるたARTクリニック院長の丸田英(えい)先生です。
自分のことをよく知ってくれている「かかりつけ医」を持ってほしい
「プレコンセプションケア」は妊娠前の健康維持のことを表していると丸田先生。
そのため、まずは「かかりつけ医を持ってほしい」というアドバイスからスタートしました。女性が婦人科に来るハードルがあることを感じ、どうしたら通いやすいか、かかりつけ医を持ってもらえるか、一生懸命考えているとのこと。さらに、「自分の状況、仕事の状況、どういう望みがあるかということを知った上で医学的なアドバイスをしてもらえる」と、かかりつけ医を持つメリットを挙げてくださいました。
これを聞いた参加者は、みな納得している様子が見てとれました。
妊娠前からの栄養~葉酸の大切さについて
プレコンセプションケアの中で、今とても重要視されているのは、食事のこと。丸田先生は、「毎日バランスよく食べましょうといわれていますが、その中でも特に葉酸が重要なビタミンです。しかし、多くの人が推奨している1日量に到達していない」と話します。
「赤ちゃんは、おなかの中で脳や脊髄からできていきますが、その時に必要な栄養素が葉酸です。妊娠してから補充するのでは遅いということがわかっていて、妊娠した時にはある程度の葉酸が体内に補充されていなければいけない。日ごろから意識してほしい」と、妊活する、今後妊娠を考えている人にむけて訴えかけました。
さらに、葉酸は食事から摂るのが実は意外と難しい栄養素であることから「食事でとることも大事」としながらも、体の中で効率よく吸収される「サプリメントの葉酸」もあわせて取り入れることを推奨されていました。その中で、サプリメントのエレビットは、葉酸だけでなく、女性に必要な総合的なビタミン剤だと感じている、ともお話いただきました。
プレコンセプションケアを進めるうえで大事な検査
丸田先生自身が診察する中で、クラミジア感染症や梅毒などの感染症が増えていることを実感しており、自分がかかっていないかどうか調べておくことが必要だということを説明。
さらに、閉経のタイミングは個人差があるからこそ、AMH検査(卵巣予備能検査)の必要性がある、ということについても触れました。プレコンセプションケアの中でも、とても重要な検査データだと言い「AMH検査で、自分があとどれくらい排卵できるか、どれくらい妊活できるか妊娠までのタイムリミットを知ってほしい」と話をしめくくりました。
続いて、AMH検査と卵子凍結の体験者であり、卵子凍結保管サービス「グレイスバンク」を運営する、グレイスグループの取締役でもある、上野千紘(ちひろ)さんが自身の体験を語ってくださいました。
AMH検査と卵子凍結を体験したからこそわかること
サイバーエージェントから今の会社に出向し、サイバーエージェントの福利厚生である「卵子凍結補助」を利用して、34歳で卵子凍結を実施した上野さん。
「AMH検査は、血液検査なので、内診台に上がる必要もなく、少量の採血で大丈夫です」と、気軽に検査を受けられることを説明。さらに「結果は、受け取って終わりではなく、ぜひ先生からカウンセリングを受けてほしい」と、検査後、医師と話をすることの大切さを強調されました。
上野さんは、卵子凍結は35歳までに行うことが推奨されていることを知り、34歳のときに卵子凍結を行ったそうです。スケジュールやクリニック選びについて、よく質問を受けるという上野さん。「卵子凍結は、生理が始まって排卵までの約2週間で卵を育てて採取しますので2週間くらいで終わっているかと思います。その間、複数回通院が必要になるため、通いやすいクリニックがおすすめです」と、自身の経験をもとにお話ししてくださいました。
排卵誘発剤の注射を自分で打つ自己注射を実施したが痛くなかったこと、全身麻酔で眠っている間に手術が終わってしまったこと、術後、お腹が張っている感じがする副作用があったことなど、当時の様子を振り返ってくださいました。AMH検査や卵子凍結をためらっていた女性にとって、とても心強いお話を聞くことができました。
パネルディスカッション~女性の体とライフプランについて
パネルディスカッションでは、お笑いコンビ、フォーリンラブのバービーさんに参加いただき、丸田先生と一緒に女性の体とライフプランをテーマにお話しいただきました
日ごろから、自身の考え方をWebメディアなどで公開されているバービーさん。「やっほー」と元気に登場すると、会場が笑顔で溢れました。
プレコンセプションケアとは「妊娠前の女性とカップルが、自分たちの生活と向き合い、健康的なライフスタイルを築いていくための、広い意味でのケアになります」という丸田先生。これを聞いたバービーさんは「どれくらいから始めるんですか?」と質問。「推奨としては月経が始まってからの10代、遅くても20代前半くらいから」と答え、テンポよくディスカッションがスタートしました。
一緒に産んで育てるのだから、検査はぜひふたりで
「定期的に検査に通っている方はどれくらいいらっしゃいますか?」という司会者の問いに手が上がるのは少数の様子。「企業に勤めていれば、体のことを知るために、ほとんどの人が1年に一回健診を受けるはず。しかし婦人科検診は約3割しか受けていない。敷居が高いイメージがあるようだが、気軽に来てほしい」と丸田先生からのメッセージ。
さらに「男性も、射精ができれば大丈夫ではないし、自分で大丈夫と思っても全く根拠がないので、自分の体をしっかり知るためにも検査が必要」と続けます。精子が元気か、数が多いか?男性は精子がいるかいないかが大事な要素であり、女性だけでなく、男性も検査を受けることが重要であることと力説しました。
女性の社会進出と助成金
女性が不妊治療を行いたい、プレコンセプションケアを受けたいと思っても、仕事との両立が問題になることが多いのが現状です。丸田先生のクリニックでは、働いている方を応援したいという思いから、仕事が終わってから診察ができる時間帯も診察を行い、土日に採卵するなど、仕事を休まなくても通える工夫をしています。
また、アメリカでは、卵子凍結に対して助成金を出し、将来妊娠を考えた時には、その若い卵子を使って妊娠を手伝うというスタンスの企業が増えているそうです。
しかし日本では、女性が社会進出し、子育てと仕事を両立することが大事だとわかっていながらも、実際のそれに対する何かしらの対応については、企業の間では徐々に広まりつつありますが、自治体の間では健康な独身女性に対する助成金の取り組みはまだ広がりを見せていません。少しでも治療する方の負担が減るよう、今後も働きかけていきたいと、丸田先生はおっしゃってくださいました。
最後に
卵子凍結は「ひとつの選択肢として有効だけれど、年齢、相手の男性などの要素が関係しており、将来の妊娠を約束するものではないということは知るべきですね」と丸田先生。
バービーさんは「必ず子どもができるマジックではない」とした上で、私にとっては「卵子保存したことで、心がすっきりして、仕事に打ち込めた。自分のライフスタイルのためにやってよかった」と、語ってくださいました。。
話が弾み、あっという間に終了の時間となりました。「プレコンセプションケアについては、調べるほどいろいろな事実が見えてくると思います。まずは正確な情報を知り、自己決定できたらいいですね、みんなで頑張りましょう」とバービーさんからお声をいただき、セミナーは大盛況で幕を閉じました。
※2024年1月 株式会社RJCリサーチ調べ インターネット調査 調査対象:産婦人科、産科、婦人科、生殖医療関連診療科 150名
Last Updated : 2023/Aug/17 | CH-20230815-03