貧血
妊婦さんは鉄分が不足しやすく、貧血になりやすい状態です。
原因
血液が薄まった状態になる
妊娠によって血液量と鉄分を多く含む赤血球は増加しますが、血液量の増加のほうが赤血球の増加よりもはるかに多いため妊娠中の血液は薄まった状態になり、鉄分が不足しやすくなります。
胎児の成長に伴い鉄分が多く必要となる
下記のような症状が出る場合があります。(貧血が高度な場合)
- 顔色が悪い(顔面蒼白)
- 疲れやすい
- めまい
- ふらつき
重度の貧血になると、早産や発育不全など、胎児への影響も心配されます。
対処法 |
鉄分を多く含む食品を積極的に食べることです。 鉄分を多く含む食品としては、牛もも肉、小松菜、ほうれん草、大豆、納豆などが挙げられます。レバーも鉄分を多く含みますが、ビタミンAの摂りすぎに繋がるため、特に妊娠3ヶ月以内の方は食べすぎないように注意しましょう。 また、医師から鉄剤が処方された場合は、用法用量を守って内服することが大切です。 |
つわり
妊娠初期に、妊婦さんの50~80%が経験するのがつわりです。
原因
つわりの原因は詳しくは不明ですが、ホルモンや代謝の変化が一因とされています。
「つわりが起こるのは朝だけ」というのは誤りで、人によっては昼夜を問わず起こります。
また、つわりの症状は妊娠15週以内に消失することが多いのですが、なかには妊娠後期まで続くこともあり、個人差が大きいです。
症状
- 吐き気
- 嘔吐
- 唾液の分泌増加
- 全身のだるさ
- 頭痛
- 眠気
- 食欲の低下
- 食べ物の好みの変化
などがおこる場合があります。
対処法 |
症状が悪化すると「妊娠悪阻」と呼ばれる状態になり、治療が必要になります。 |
胸やけ
妊婦さんは、妊娠初期から後期にかけて胸やけをおこしやすいです。
原因
妊娠初期のつわり
つわりは、吐き気や嘔吐などの症状が見られ、胸やけを起こす場合もあります。
胃と食道のつなぎ目の筋肉のゆるみ
妊娠中は、女性ホルモンの作用で消化器の筋肉が弛緩し、消化管の運動が低下します。胃と食道のつなぎ目にある筋肉(下部食道括約筋)も緩みやすく、胃酸が食道に逆流する場合があります。
子宮による胃や腸の圧迫
大きくなった子宮が胃や腸を圧迫することで、消化管の動きが低下しやすくなります。
対処法 |
|
便秘
妊娠中は、初期から後期まで便秘になりやすい状態です。
原因
- ホルモンの変化
- 運動不足
- 子宮が大きくなる
ことなどが挙げられます。
対処法 |
食物繊維を豊富に含んだ食品を多くとる 食物繊維を多く含む全粒穀物、果物、野菜などの食品を積極的に取り入れましょう。厚生労働省は食物繊維を1日約18g以上摂取することを推奨しています。 水分を十分にとる からだから老廃物を排出するには、水分が必要不可欠です。水分の摂取量が足りないと便秘になりやすいため、食事の時以外にも意識的に水分をとりましょう。 定期的に身体を動かす 適度な運動で、大腸の動きを活発にしましょう。1日の始まりに軽いウォーキングをするのも効果的です。
また、妊婦健診時などに、医師から下剤を処方してもらう方法もあります。便秘が辛い場合は我慢せず、医師に相談しましょう。 |
おりもの
妊娠中には、帯下(たいげ)と呼ばれるサラサラとした白色のおりものが増えることがあります。おりものは膣を健康に保つために分泌されるものです。特に妊娠後期には、出産に向けての準備としておりものが多く分泌され、出産時には潤滑剤の働きをして出産を助けてくれます。 おりものシートを利用して頻回に交換するなど、外陰部を清潔に保つようにしましょう。
原因
おりものの増加に加えて、かゆみや悪臭、色の変化などがある場合は、感染症が原因である可能性があります。
おりものの変化と感染症の関係
- 黄緑色で泡立ち、悪臭がする
→膣トリコモナス - 悪臭がする
→細菌性膣症 - 白色で酒かす状やヨーグルト状
→カンジダ症
対処法 |
おりものの状態が少しでもおかしいなと感じたら、産婦人科を受診したほうが安心です。 また、水っぽいおりものが続く場合には、破水の可能性があります。すぐに産婦人科に連絡しましょう。 |
まとめ
妊娠中には、さまざまな症状がみられます。多くの場合、時間の経過とともに改善しますが、中には病院での治療が必要なものもあります。そのため、気になる症状や不安なことがあれば、早めにかかりつけの医師に相談しましょう。 |
Last Updated : 2023/Apr/6 | CH-20230406-43